番外編
□画面越しの好き
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シャラララ〜♪シャラララ〜♪
「ん、はい、もしもし」
「おはようさん、葉月ちゃん」
「侑士くん!?」
「一応、これビデオ通話やから耳から離してくれると嬉しいんやけど」
可愛らしい耳で悪戯したくなってまうわ、と囁かれて慌てて耳から離す。
「ご、ごめん。」
「今、大丈夫か?」
だ、大丈夫。とまだ寝足りなくて下がってくる瞼を擦る。そんな私に侑士くんは「なんや寝起きドッキリ!みたいになってもうたなぁ」と呟く。
「それで用件は?」
「今日付けの荷物ってまだ届いてへんよな?」
「届いてないね。」
それがどうしたの?と尋ねると侑士くんは「どうしたって今日何の日かわからんの?」と逆にそう返される。
何の日って…
「3月14日、ホワイトデー?」
「そうやで、キョトンとしとるから忘れとんのかと思うたわ」
チョコのお礼、と画面越しで侑士くんが笑う。またあの時のことを思い出しているのかとこちらも照れくさい。
「その顔、荷物が届いてから見たかったわ」
「ほんま詰めが甘いなぁ、俺。」と画面越しでまた笑う侑士くん。
「ほな、練習に戻るわ。また荷物届いたら連絡するな。楽しみにしとって」
「ありがとう。練習頑張って」
おん、ほな、ハッピーホワイトデーと通話が切れた。黒い画面に映るのは自分の顔。
少しだけにやけた。そんな顔。
「荷物楽しみだなぁ」
そう呟いてスマホから手を放す。
そして起き上がる。
「今日も1日頑張ろう!」
END