番外編

□画面越しの好き
1ページ/1ページ



シャラララ〜♪シャラララ〜♪



「ん、はい、もしもし」

「おはようさん、葉月ちゃん」

「侑士くん!?」

「一応、これビデオ通話やから耳から離してくれると嬉しいんやけど」

可愛らしい耳で悪戯したくなってまうわ、と囁かれて慌てて耳から離す。

「ご、ごめん。」

「今、大丈夫か?」

だ、大丈夫。とまだ寝足りなくて下がってくる瞼を擦る。そんな私に侑士くんは「なんや寝起きドッキリ!みたいになってもうたなぁ」と呟く。

「それで用件は?」

「今日付けの荷物ってまだ届いてへんよな?」

「届いてないね。」

それがどうしたの?と尋ねると侑士くんは「どうしたって今日何の日かわからんの?」と逆にそう返される。

何の日って…

「3月14日、ホワイトデー?」

「そうやで、キョトンとしとるから忘れとんのかと思うたわ」

チョコのお礼、と画面越しで侑士くんが笑う。またあの時のことを思い出しているのかとこちらも照れくさい。

「その顔、荷物が届いてから見たかったわ」

「ほんま詰めが甘いなぁ、俺。」と画面越しでまた笑う侑士くん。

「ほな、練習に戻るわ。また荷物届いたら連絡するな。楽しみにしとって」

「ありがとう。練習頑張って」

おん、ほな、ハッピーホワイトデーと通話が切れた。黒い画面に映るのは自分の顔。
少しだけにやけた。そんな顔。

「荷物楽しみだなぁ」

そう呟いてスマホから手を放す。
そして起き上がる。

「今日も1日頑張ろう!」

END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ