番外編

□忍足誕生祭2023
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「滝くん、ちょっと良いかな?」

「ああ、風宮さん。いいよ、どうしたの?」

「ここじゃなんだから場所変えよう」

「そうだね、行こうか」


「最近、風宮のやつ、よく滝と一緒にいるなぁ」

「せやな、俺ら眼中にないんかな?」

俺、一応あの子の彼氏なんやけど、と言う侑士。やつが眺める先には微笑み合う風宮と滝の姿がある。


「……岳人、久しぶりに練習いこか」

「おう」

侑士のやつ、嫉妬してんのかな?
よくわからねぇけど、

ちらっと侑士に視線を送るがやつはテニスコートに向かってまっすぐ歩いていく。
本当によくわからないヤツだ。

あー、俺がイライラする。

「クソクソ」

「なんや岳人、ご機嫌斜めか」

「うっせえ!」

誰のためにこんなイライラしてると思ってんだよ!人の気も知らないで。


「喧嘩してんなら早く仲直りしろよ!」

「あーおおきに。喧嘩は別にしてへんけど、まあ、あと少しやな」

「……。」

あと少し?
あと少しってなんだ?
侑士の意味ありげな言葉に俺は考える。

喧嘩してないならなんで風宮は滝と一緒にいるんだ?

侑士はその理由を知っている?
あーもう!マジでイライラする!

「岳人、めっちゃ百面相しとるやん。そんなに悩んでくれとんの?」

俺へのプレゼント、と言う侑士。

「プレゼント?」

「そや、流石にあの腐れ豆のたこ焼きは勘弁して欲しいわ」

「腐れ豆じゃねぇ!納豆だ!」

「はいはい、そやな」

思い出した。あと少しで侑士の誕生日じゃねぇか。先日、跡部の誕生日が盛大に祝われてたのを忘れてた。


待てよ。と言うことは、風宮は滝に侑士への誕生日プレゼントのことで相談するために一緒にいたのか。侑士はそれに気付いてて黙認してるってことか。


「なあ、帰りにどっか寄ろうぜ。腹減った」

「まだテニスしとらんのにもうお腹減ったんか。」

「いいだろ、別に。少し早いけど、誕プレつーことで奢ってやる」

俺の言葉に侑士は目を丸くして微笑んだ。まったくわかりにくくてわかりやすい相方だな、コイツは。

それから侑士の誕生日、当日。


「忍足くん、誕生日おめでとう!」


風宮は侑士の趣味にあわせて、
栞付きブックカバーを贈ったそうだ。侑士はご機嫌そうにそう俺に話した。

そして、その数日後、
侑士と風宮がお礼に滝の誕生日プレゼントを選びに出掛けて行ったらしいと滝の誕生日会でプレゼントを受け取った滝本人から教えられた。

そんな滝に俺からも「誕生日おめでとう、滝」とお祝いしてプレゼントを贈った。

END

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