番外編

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「ふふ、今日のためにいっぱい買ってきたよ!」

「なんやこれ、たくさん種類があるなぁ」

「食べ比べだよ!食べ比べ!」

今日は11月11日だからね、と私が言うと忍足くんはなるほどなと納得する。そんな彼をよそに嬉々とパッケージを次々と開けていく。そして紙コップに全種類のお菓子を入れていくと忍足くんが「入れ過ぎとちゃうか?」とツッコミを入れる。

「今日はいいの!ほら、忍足くんも!」

そう言って彼にからの紙コップを渡して、私は先程紙コップに入れた棒菓子を手に取って口に含む。おお、これは!

「美味しい!」

「めっちゃええ顔で食べるなぁ」

ほな、俺も、と忍足くんもからの紙コップに数本お菓子入れる。その様子を棒菓子を食べながら微笑ましく見つめる。すると、目が合う。忍足くんはにこっと笑って私の顔に自分の顔を寄せた。えっ、と気付いた時には遅かった。パキッという音が聞こえたのは。寄せられていた彼の顔が離れていく。彼は「あ、ほんまに美味いな、これ」ともぐもぐと咀嚼している。

「……お、忍足くん」

「あ、すまん。千紗さんがあまりにも美味しそうに食べるからなんか吸い寄せられてしもうた」

期待でもした?と言う顔で笑う彼に私は食べられてしまった棒菓子の半分を口に含んだ。間接キスだ。と言う考えもなかったことにしようとした。なのに、

「間接キスやな」

改めて彼に言われてしまうと、恥ずかしくなって思わず咳き込んだ。そんな私に忍足くんが背中を摩ってくれてるけど、半分は君のせいだからな。

その後も散々忍足くんにからかわれることをこの時の私はまだ知らない。


END

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