番外編

□忍足くんと春嘘
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「ねえ侑士くん」

「なんや葉月ちゃん」

「実はね、わたし」

「……。」


「わたし、本当は」


「本当は?」

「君よりずっと年上なの」


言えた。忍足くんに本当のことが言えた。そう思っていると、忍足くんはポカンとしていたがすぐに笑って「そうか」とゆっくり頷いた。その顔は晴れやかな表情だった。


「ちなみに何歳年上なん?」
「えと、何歳かな?」
「わからんの?」
「こっちに来た時はまだハタチだったから」


そんな私たちの周りには「アイツら、もう昼なのにまだエイプリールフールやってんのかよ」と言っておかしそうに笑う。跡部くんはただただ「やっと言えたか」と小さな声で呟いた。その言葉は樺地くんしか聞こえていなかったが、彼も小さく「ウス」と頷いた。


END

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