カタクリ*アル戦

□ワタクシとアルスラーン殿下
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「…うるさい…」

やけに外がうるさい。
タハミーネ王妃サマがお困りになるかもしれない。
ルシタニアと言う蛮族共の国とアンドラゴラス三世サマはお戦いになっていると伺っている。
ツゥーラは持っていたハタキを片付け思い立つ。

「戦場に行かねば」

女が戦場とは随分先進的な考えかもしれないが、全てはタハミーネ王妃サマの為。
こんな不気味なワタクシを拾ってくださった方に忠誠を。恩返しヲ。

「タハミーネ王妃サマに書状を書いていただきまショウ」

タハミーネ王妃サマは不審に思う事なく、ワタクシに書状をくださった。アルスラーン殿下とアンドラゴラス三世サマ、ヴァフリーズサマ、ダリューンサマ達は無事だろうか?
戦が始まるまでまだあるはず。
ワタクシの力見せてあげマス。

「飛べ、クラーク‼︎」

物語でしか見た事がないような獣に乗るツゥーラ。
クラーク___グリフォン___は天高く舞い、戦地へと行く。
風を纏い、疾風の如く行く。

「パルスは負けナイ。決して」

アンドラゴラス三世は負けなしと聞く。マントを握り締めワタクシは無意識にしかし、実に無意味な言葉を紡ぐ。

「神ガいらっしゃるのならパルスに栄光あらん事ヲ」

パルスは奴 / 隷がいる。
奴 / 隷とはあまり気持ちのいいものではない。本来ならば自分だってその立場に居たかもしれないからだ。それに、扱いも酷い。いくら蛮族共の国・ルシタニア人だからって聞き分けがないからって殺す事はあまりにも酷い。
又してもマントを握り締め、今度は肩を包み込むように丸まった。

「クラーク、落ちないように動いてクだサイ」

人の言葉がわかるかのようにあまり翼を動かさなくなったクラーク。ゆるりとしかし、早々と景色は過ぎて行く。
もう少しで、戦場に着くはずだ。
アンドラゴラス三世を探さなければ。

「それに、穴の事も言わなケレば」

穴がポッカリと空いていた。一通り偵察してあるだろうが、万が一という事もある。天幕に行く前に周りを回ってきてよかったと思う。

「天幕見つけた。クラーク、降りて」

クラークはヒッソリとした場所に降り、主を降ろした。
マントを脱ぎアノ服へと着替える。

「もう、着まいと思っていたのに」

それは現実に言う中世に最も恐れられた魔女の装いへと。
彼女は魔女家系であり、元は奴 / 隷だった。しかし、ナルサスにより開放され同時に、両親は力尽き亡くなってしまい孤児となってしまった。そこへナルサスを通し、タハミーネ王妃の侍女にさせてもらったのだった。
その為、彼女は戦場へと向かう。

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