空に知られぬ雪

□奈良家
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墓参りを終え、手土産にとせんべいを買い俺とホマレは奈良家に向かい歩いていた

朝10時くらいとなると、行きはほとんど人がいなかった通りでもちらほらと人が歩き始め、活気がつき始める

ホマレにさっき父さんに何を話していたのか聞いてみたが“秘密”と笑ってはぐらかされた

こいつも色々話したいことがあったんだろう


シカクさんの家、奈良家が見えてきた
すると

「ねぇ」

これまで隣を歩いていたホマレが足を止めて俺の服を引っ張った

「?どうした??」


「先生たちへの手土産
やっぱりクッキーの方が良かったのかもしれない」

「はぁ?」

シカクさんたちに会うことに緊張しているホマレは後ずさろうとする

「何バカなこといってんの
もうすぐ着くでしょうが

ほら、行くぞ」


「いや、やっぱり明日!明日行く!

せんべいしか今日ないし!!」


「あのねぇ、明日って
今日しかないに決まってるでしょうが

それにシカクさんはせんべいで大丈夫だから
シカクさんどうみたってせんべい派の顔してるでしょうが
あの顔でクッキー派だったら詐欺だから」


ほとんどホマレを引きずるようにして奈良家の前に行き、ワタワタしているホマレは放っておいてインターホンを鳴らした


「ちょっと!!!

心の準備が!!」


はーい

中からヨシノさんの声が聞こえた

ホマレの体が固まる


ガラガラガラガラ

玄関の戸が開かれる



「はーい、どなた?

ってあら、カカシくんじゃない

ウチの人に何か用かい?」

出てきたのはシカクさんの奥さんであるヨシノさんだった

「でもごめんね
ウチの人、昨日から泊まり込みでね
今いないのよ

もう少ししたら帰ってくるはずなんだけど…
ウチ上がって待っとくかい?」

「あ、いや
シカクさんに用っていったらそうなんですけどヨシノさんにも」

「ん?アタシにもかい?」

「俺じゃなくてコイツが」

ほれっと俺の背中に隠れていたホマレをつかんで俺の前に出す


「ん?」

「…ご無沙汰しております」



「!?!!!!!!」


そろそろと伺うように顔を上げるホマレ


ヨシノさんが目を見開いて驚いているのがわかる


「用があるのはコ」

俺が言い終える前にヨシノさんがホマレを抱きしめた

「ホマレ!ホマレなのかい?!

本当に!ホマレなんだね!?!

このバカ!どれだけ心配させたら気がすむんだい?!」


「ごめんなさい…」

ヨシノさんに抱きしめられたホマレは初めは固まっていたが徐々に目を潤ませてヨシノさんを抱き締めかえしていた











ヨシノさんとホマレが久々の再会をして、しばらく経った頃
ホマレから少しだけ体を離したヨシノさんが言った


「早くウチに入んな
ほら早く


カカシくんも入ってくだろ?」

「えぇ、お邪魔します」

ホマレの背中をぐいぐいと押し家の中に入れるヨシノさん
ヨシノさん目からはまだ涙が出ていたが嬉しそうに笑っていた
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