空に知られぬ雪

□奈良家
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あぁ、面倒くせぇ
今日せっかく休みだってのに母ちゃんには早い時間から叩き起こされて薬届けに行かされるし
行ったら行ったでそこの人は留守だし
ついでにはその帰りに、いのに付き合わされてカカシ先生が別嬪な女の人とどうだとかよ
そりゃカカシ先生だっていい年なんだしよ、彼女の一人や二人いたっておかしかねぇだろう
カカシ先生だってそろそろ結婚を考える人だっていんだろうよ

何をそんなに騒いでんだって話だ
…いのはもともとそういう話が好きだから仕方ねぇか


とりあえず、今日はせっかくの休みなんだしさっさと特等席にでも行ってのんびりしよう
ただでさえ中忍試験の準備やらで面倒くせぇんだし、休みの時くらいゆっくりしてぇしな


ガラガラガラガラ

「母ちゃん
相手さん、いなかったぜ
ありゃ多分留守だな

ん?」

玄関にしらねぇ靴が二足並んでいた
客か?

「ちわー

母ちゃん、帰ったぜ」

リビングにいる母ちゃんに帰ったことを伝えるのと同時に客にも一応挨拶する

客は普段、客間に通すはずなのに珍しいな

まぁとりあえず挨拶だけして客も特に見ずに上へ上がろうと扉を閉める

すると

「シカマル!
ちょっとおいで!!」

母ちゃんが俺を呼ぶ声が聞こえた

行くのも面倒くせぇけど、行かねぇ方がもっと面倒くせぇかと俺はため息をつきながらリビングに戻る

「よぉ、シカマル」

カカシ先生が振り向いてお邪魔してるよと言った

リビングにはカカシ先生と銀髪を背中の方に流した女の人がいた

って客はカカシ先生かよ
なんだ?いのが言ってたようにカカシ先生、結婚すんのか?
にしてもなんでウチに報告しに来るんだ?


「うわー、本当だー
大きくなってるー

先生そっくり」

カカシ先生の隣に座っている銀髪の女のヒトが振り返り俺を見てそう言った

大きくなってる?
どっかで会ったか??

母ちゃんを見ると目が赤く目が潤んでいる
…泣いたのか?

だが母ちゃんは嬉しそうに笑ってる

そんなに目出度いのか??
母ちゃんの知り合いか?

俺は首をかしげてカカシ先生に尋ねた

「カカシ先生、お相手
一般の方スか?」

「うわー気付いてないし

信じられない」

すると銀髪の女の人がケラケラと笑いながら俺を見てる
母ちゃんは母ちゃんで笑っている

信じられないって、そんなに近い人でこんな人いたか?
しかもあのカカシ先生の彼女だろ??



… … … …ん?さっき俺のことを先生そっくりっていったよな

先生って誰だ?
カカシ先生…じゃねぇな

親父のことか?

…。

親父のことを先生って呼ぶ奴は俺は一人しかしらねぇ

銀髪の…
どこかに任務に出たっきり消息を絶ったバカだ

まさか…


いや、そんなはずはねぇ
行方をくらまし一切の連絡が取れなくなったあいつを、しばらくして木の葉は死んだとして、あいつの死亡通知を出した

だが、だれもあいつの遺体はみてねぇし
だれもあいつが死んだところはみてねぇ


でもこの人は一般人だ
あいつは忍だった

俺はじっと目の前の銀髪の女を見る
だが見れば見るほど疑念が深まる


まさか…


「あぁ、これのせいかも?」

銀髪の女はそう言うと、立ち上がり俺の前に来て、片目を隠すように伸びていた前髪を耳にかけた


「!」
「ど?」

俺の頭の中でもパズルのピースがぴったりとはまった
こいつのことを俺は知っている


長期任務に出たっきり消息を絶ったバカだ
連絡もつかなくなったあいつは手紙の代わりに死亡通知を届け、俺たちを悲しみの中に突き落とした


まさか…

「ホマレ…か?」

時が止まったように感じる


目の前の女が頷いた

っっっつ!!!

目の前に立っている女の肩を思わず掴んだ

「今までどこに行ってたんだよ!!!

何をして!!!
死んだって言われて!!!

俺は!!」

目の前の女ーーホマレーーに抱き締められた

「ごめんね…
シカマル、


ごめん」


…そんな顔されたら、
そんな風に言われたら何も聞けねぇの、分かってんだろう





「…親父には、、、もうあったのかよ」


ホマレはゆっくりと首を横に振る

そりゃそうか
親父が知ってたらウチがこんなに静かなはずがねぇな


とりあえず、帰ってきてよかった


俺はホマレの肩に頭を置いた
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