多種短編集

□ドンキホーテの娘さん
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キーンコーン
カーンコーン

キーンコーン
カーンコーン


じゃあね〜
バイバーイ
また 明日 〜
夜電話する ね 〜


ここは私立海原学園

古い歴史を持ち幼稚舎から大学舎まであるこの学園は政財界をはじめとする各界の大物たちの子息が多数通っていた

「ニアー
さっきビビと話ししてたんだけどね
今日これからクレープ食べいかない?」

「つい最近新しくオープンしたお店があってものすごく人気なんですって
ニアさん一緒に行かない?」


「クレープ?
行きたーい!

… あっ!でも今日は無理だ」

「なにかあるの?」

「うん
さっきカク先生に出会って今日の放課後に資料室の整理頼まれて たの
残念だけど、またの機会を楽しみにしてる
ごめんね 」

ニアと呼ばれたこの少女もこの海原学園の生徒であり、その名を知らない者はいない程の政財界を代表する超大物の娘だった

「 じゃあ明日でもあんたもいけるときにしましょ
ねぇ、ビビ」

勝気なまなざしに女子高生ながらに色っぽさを醸し出すオレンジの髪を持つこの少女は元警察関係者であり現在みかん農園を運営している義母を持つナミ

「えぇナミさん
ニアさんも一緒のほうがいいものね 」

にっこりと優しい笑みを浮かべたこの少女はネフェルタリビビ

流れる水のような水色のロングヘアーをもち絵にかいたような清楚系のお嬢様で、名門ネフェルタリ家の一人娘であり正真正銘のお嬢様である

「ナミちゃん、ビビちゃん…
愛してる」

ニアと呼ばれた少女はジーンと感動して2人にガバッと抱きついた

「はいはい、分かったから
あんたカク先生に呼ばれてるんでしょ?
ほら、早く 行きなさいよ」

ポンポンと少女の頭を叩いてナミが言う

「うん!
じゃ、行って くる
二人ともまた 明日 ね 」

少女はスクールバックを手に持ち二人に手を振って教室を出て行った

資料室へと廊下を軽く走っているこのニアと呼ばれている少女
大きな瞳に整った顔立ち
先ほどのナミやビビもかなり整った容姿を持ってはいたがこの少女も彼女らに負けず劣らずの愛らしい容姿を持っていた
そして何より彼女の父親譲りの軽くウエーブがかかった綺麗な金髪が少女の白い顔をより一層映えさせていた

「カク先生〜
来ました〜」

「おぉ、すまんな」

この少女の名はニアリア・ドンキホーテ
父親は政界への太いパイプまで持つ経済界の超大物
その名を知らないものはいないであろう大財閥ドンキホーテグループのトップ

そう

ドフラミンゴ・ドンキホーテである





「何をすればいいんですか?」

「そこの資料をホッチキスで留めてってくれ」

「はーい」

ニアリアは近くにあった机にバックをおいて資料をホッチキスでまとめ始めた

「あーあ、あの時カク先生に会わなかったら今頃はナミちゃんたちとクレープ食べに行ってたのにぃ」

「まあそういうな
確かにこれを手伝ってもらいたかったのもあるが
お前さんに聞きたいこともあったもんでの」

口を尖らせいうニアリアにカクは苦笑いしながらいう

「聞きたいこと?」

「ああ、
まあ、わざわざ聞かんでもよさそうじゃか

お前さん学校にはもう慣れたかいの?」


「ええ
みんな優しい人ばっかりだったしもうばっちり慣れました!」

この学園の生徒は大抵幼稚舎から入学してエスカレーター式に進学していくのだがこの少女、ニアリアは高等部からの編入でありそれまでは違う学校に通っていた

「まさかお前の親父さんがお前さんをこの学園への編入を許すなんてのぉ」

「おつる先生やクザン先生が父に口添えしてくれたりしたので」

その時の様子をおもいだしているのかニアリアは苦笑いをこぼしながらカクにこたえる


ドフラミンゴの実の娘でありたった一人の愛娘であるニアリアはドフラミンゴはもとよりドンキホーテファミリーと言われるドンキホーテグループの大幹部たちからの愛を一身に受け、蝶よ花よとそれはそれは言葉に表せぬほど溺愛されて育てられてきた

それは高校生になった今でも変わることはない
むしろ成長していくにつれて愛が深くなっているともいえる

父譲りの美しい金髪、それに負けない整った容姿をもつニアリアに、父であるドフラミンゴはもちろん、ドンキホーテファミリー全員が悪い虫がつかないようにと厳重体制を敷いているほどである


「やはり大変じゃったのか」

「えぇ、まぁ
、、、それはもう」

ニアリアは海原学園に編入したいと父やファミリーに言った時のことを思い出して乾いた笑いをこぼした

その時のことは話すと長くなるためまた違う機会に話すとして今は割愛しよう

ただ一言言えるのは

それはもう…大変だった


「おつるさんはわかるとしてあの青雉の大将も動くとはなぁ

珍しいこともあるもんじゃ」

この学園には通り名を持つ教師、生徒とその父兄、また卒業生が多く存在する

わかりやすい通り名を持つ者、なぜそう呼ばれているのか全くわからない者、通り名がいくつもある者など様々だ

ちなみに青雉とはクザンのことなのだが、クザンがなぜ青雉と呼ばれているのかはわからない

「ん?そういえばニアリア

お前さん、おつるさんや青雉の大将たちと知り合いじゃったのか?」

作業しながら話を聞いていたカクはニアリアの方を見て言った

「ああ、
そうなんですよ

特におつる先生には父もお世話になっていて私も小さい頃からよくお世話になっているんです」

「ほぉ、なるほどのぉ
おつるさんが動いたとなりゃあお前さんの親父さんも折れんわけにはいかんかったちゅうわけじゃのぉ」

「おつる先生を味方につけた私の作戦勝ちです」

クスクスと笑いながらニアリアは言った

「ほんまじゃのぉ」

カクも笑みをこぼす








「よし、ニアリア
その資料をまとめ終わったら帰ってもええぞ

遅くまで手伝ってもろうてすまんかったな
じゃが助かったわい

暗うなる前に帰れ」

作業がひと段落したついたカクはニアリアに声をかけた

「はーい
じゃあこれ留めたら帰りますね」

カクの声を聞いたニアリアはパチンと手に持っていた資料をホッチキスで留めてふーと伸びをして立ち上がる

「じゃあカク先生、さよなら〜」

「あぁ、ありがとな
気をつけて帰れよ」

はーいとカクに返してニアリアは下駄箱に向かう


「ん?」

下駄箱の前に人影が見えた

「あっ、ニア姉」

その人影はニアリアに気づくと走ってきてニアリアに抱きついた

「っわ

デリ、待っててくれたの?」

飛びついてきた人影を受け止めたニアリアはその人影の頭を撫でながら尋ねた

「うん
帰るときにニア姉の靴箱みたら靴が残っていたから」

デリと呼ばれたその人影は嬉しそうにニアリアに答える

「さっきまで先生に言われて手伝いをしていたのよ

だからちょっと遅くなっちゃた
ごめんね」

少年の名前はデリンジャー

まだあどけなさが残るこの少年はドンキホーテファミリーに拾われファミリーの一員として育てられてきた

ニアリアより年下で今は海原学園の中等部に通っている
ニアリアのことをニア姉とよびとてもよく懐いていた
ニアリアもデリンジャーのことをデリと呼び可愛がっていた

デリンジャーもニアリアが海原学園に編入する前までは違う学校に通っていたのだがニアリアが海原学園に編入すると言った時、ニアリアを追って海原学園に編入したのだ

一般的な中学生に比べてかなり美形の部類に入るデリンジャーではあるがただ一つ問題があった

それは

「いいのよ、別に

ただ遅くなったら危ないと思ってあたしが勝手に待ってただけだから」

そう
おねえ口調なのである

デリンジャーの養育の任された者の影響をモロに受けてデリンジャーは恋愛対象が男というわけではないが持ち物、口調などが女の子風になってしまったのである

「ありがとう

一人で帰るのは寂しいと思ってたところだからデリがいてくれて本当に嬉しいわ」

ニアリアは靴を履きながらデリンジャーに笑いかける

「じゃあお待たせ

帰ろうか」

「うん!」

ニアリアとデリンジャーは並んで家に向かって帰って行った
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