多種短編集

□過去拍手文
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「クリスマスのコト」




「あーあ
何が楽しくてクリスマスにまで任務で忙殺されないといけないんですかね」


暗部の任務で、ある組織の殲滅を命じられホマレとツーマンセルで任務に当たっていた時
敵からの攻撃をかわし両手に敵の残骸を持ったホマレがため息混じりにそういった


「この時期に呼ばれたから嫌な気はしていたんですけどねぇ、
まさかクリスマスもイブも潰すなんて思わないでしょ

流石にクリスマスプレゼントだって渡されたものが誰が殲滅リストだと思うんでしょ」


今回の任務を命じられた時のことを思い出しているのか、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべるホマレの様子に思わず苦笑いをこぼす


「まぁ、そういうな
こういうイベントごとがあるおかげでここまで任務がスムーズに進んだんだろう」

今回の任務は最近勢力を拡大させてきている組織の殲滅だ
この組織はまだ木の葉には何の影響もないが、このまま勢力を増していけば近い未来後々面倒なことになる
と木の葉として早めに手を打つことにしたらしい

それなりの実力者で構成されてはいたが、クリスマスという賑やかなイベントがあったおかげか俺たちの動きに気づかれることなく、当初の予定以上にスムーズに事が進んでいた



俺たちの侵入に気がついた組織の奴らが、慌てて俺たちに攻撃を仕向けてくるがもう遅い


「ホマレ」

「はいはい」


ホマレが面倒くさそうに俺の方を向き印を組む

全く


「狐狸心中の術」


ホマレが俺に向かって幻術をかける

「鏡天地転」

俺はわざとホマレの術にかかり、幻術返しの一つであるこの術を使いホマレを除く組織全体にさっきホマレが俺にかけた幻術をかける

やる気がない声を出しておきながら、しっかり威力のある現実をかけているところにホマレの実力が示されている

ちなみにホマレがかけた幻術は同じ場所を永遠と歩くという幻想を見せる術であり、奴ら程度の実力じゃあ、誰かが幻術を解かなければもう二度と解けることはない

鏡天地転の術は魔幻の一つで、俺が嵌った幻術を写輪眼でひっくり返し相手に返すという幻術返しの一種だ


普通ならかけたホマレも俺の魔幻に嵌るはずなのだが、事前にホマレが自身にかけている特殊な幻術により俺の幻術にホマレはかからない

ホマレ自体、あまり知られていないが幻術の能力はかなり高く水遁忍術と同じように、幻術でも木の葉のトップクラスに位置する忍だ

その幻術の威力は写輪眼を使わないでかける俺の幻術ならば俺よりホマレの方が強力ということからもわかると思う


幻術をかけてさえしまえば、後はもうそれほどの労力はいらない
ゆっくり後始末をすればいい

一度俺に幻術をかける理由はホマレ一人が幻術を広範囲にかけるとなると、かなりのチャクラを必要とすること、また範囲にもよるが威力が少し落ちてしまうからだ
それに元々多くはないチャクラを不必要に使う必要はないだろう

その点俺はホマレほどの威力はないが広範囲に幻術をかける事ができる
幻術返しも同様だ
写輪眼を使うため、真の継承者である俺はそこまでチャクラを使うこともない
元々チャクラが少ない方でもないしな



そのため任務によってはこういった技を使うことも少なくない

幻術を得意とするホマレと写輪眼がある俺だからこそできる連携技だ



目の前の敵たちが完全に術に嵌ったのを確認し写輪眼を戻す


「ふん、せっかくのクリスマスにわざわざ出向いてやったんだからとサンタとトナカイの小屋を行き来する幻術をかけてやりましたよ」

その道の両脇にはもれなくラブラブなカップルたちを添えてね


とイタズラが成功したように笑うホマレ

全く




と、そんなホマレの様子に笑みをこぼす


「よし、あとはこの壕を塞げば任務終了だ」

「さっさとして帰りましょ」


入っていた壕から出て、ホマレから少し距離をとる



「水遁、大瀑流」


ホマレを中心として生まれる巨大な水の渦があたりを巻き込みながら広がり消えていく
水がなくなったところの地面はえぐり取られ壕も跡形もなくみずの渦に巻き込まれた

ここら辺に水辺は一切ない
それなのにこれだけの威力の水遁を繰り出すホマレの水遁はいつみても驚かされる


「はい、OKです
先輩」

という声でホマレの隣に行く


「…相変わらずすごい威力だな」

「まっ、それが売りみたいなもんなんで」



ぱんぱんと手をはたくホマレ


「あとは帰って任務報告かぁ」


残っている面倒なことに舌を出している様子に

ふっと

笑い

「帰る前に少しだけ、そこの里によるのに
付き合ってくれないか」


近くの里にホマレを誘った




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








「ホマレ、そんなに急がなくても物は消えたりしない」


俺はホマレに付き合ってもらって岩の里の国、土の国に来ていた

「先輩!!
私、土の国に来たの初めてです!!
そりゃあ大名とかのでは来たことありますけど、自由に動いたりなんてできませんし…

こんなふうに街を歩いたのは初めてです!」


自分とこの火の国でさえ、そう満足に歩いたことないですから


と道に並ぶ商店の窓から見える小物に頬を赤らめいう姿は水姫と畏れられている姿とは程遠く、さながら年相応の女の子に見える


「わっ、みてください先輩
この飴、光りますよ!!」


ボタンを押せばライトが光ったり消えたりする棒付きの飴におぉっ!と感動している


こういう飴は木の葉にもあるんだが、幼い頃から任務や監視の目があり、そうそう簡単に買い物や商店街に出ることができないホマレにとっては真新しく映るもののようだ


「色んな色があるな

俺からホマレに今日の労いとして一つ、プレゼントしよう」


木の葉にはない色の飴を買い、ホマレに手渡す

「え?いいんですか?

やったあ!
ありがとうございます」


喜びからか頬を赤くし喜ぶホマレはいつも見せる大人気な雰囲気とはかけ離れ普通の少女に戻る

飴一つでこの笑顔が見れるなんて今日の俺は役得だなと
違う任務を当てられた同じ一族のある一人を思い浮かべる


最も、ホマレには悪いが、任務という不可抗力である出来事といえど、クリスマスとイブをホマレと過ごすことができたんだから、俺にとってはラッキーだった














「兄ぃーーさぁーーーーん!」


木の葉に帰り任務報告を終え、ホマレを送ろうとしていた時
少し離れたところからよく知る姿が見えて見えた


「サスケ!」


サスケはすぐに俺のところまで駆け寄り足に抱きついた





「イタチ先輩

今日はありがとうございました
先輩のおかげでちょっぴりだけクリスマス気分を味わうことができました」


踵を返そうとするホマレに、送ると申し出る

俺の送るという申し出に首を振ったホマレ
そして

「今日はそのちっこいのと過ごしてあげてください

クリスマスまで先輩をとっていちゃあ、
恨まれてしまいそうですよ」

と笑った
そしてサスケの頭にポンと手を置き

「昨日今日とお兄ちゃん借りてて悪かったね
はい、これプレゼント」

いつの間に買っていたのかサスケにトナカイの袋(多分中身はお菓子か?)を渡す


「わーい!ホマレさん
ありがとう!!」

兄さんみて!もらっちゃった!!

と喜ぶサスケによかったなといい

「ありがとうホマレ
だがいつの間に買ってたんだ?」

「さっき三田に会っただけですよ」

「三田じゃなくてサンタだ
名字みたいになってるじゃないか」


俺がいい終わるか終わらないかという時にサスケが食い気味に尋ねる

「えぇぇぇえ!!!!
ホマレさん
サンタさんに会ってきたの?!

すごいや!!!!」



「まぁね
昨日今日の任務は君のお兄さんと一緒にサンタのお手伝いをすることだったからね」


「!!

だから急に兄さんは任務になったんだ!!」

「そう
まぁ、だから許してあげてよ」


兄さんはやっぱりすごいんだね!
サンタさんのお手伝いをするなんて!!


と目を輝かせて俺を見るサスケ
今回の任務は突然命じられたことで、任務が入る前はサスケに手裏剣を教える約束をしていた
急な任務にサスケは頬を膨らませていたが、今のホマレの言葉でふてくされていたのが、サンタさんのお手伝いだったんなら仕方がないねというように変わった

俺ならこんな風にサスケに思わせることはできなかった

ホマレはすごい




「それじゃあ」
「ホマレ」

帰ろうとするホマレを呼び止め、
ホマレの目を盗んで買っておいたお菓子の入っているブーツを渡す

本当はアクセサリーなんかを渡したいが、重いと思われてしまったりがっついていると思われるのは避けたいからな

「私もらってばかりじゃないですか」

「俺が勝手に渡しているだけだ」


俺の勝手な行為なのに
必死に何か渡すものを考えてくれているホマレ


「別にいいんだが…

どうしても、というのなら
悪いがお前のクナイを一本
交換してくれないか?」

ホマレはしらないようだが、恋人は忍具を一つ交換するということが木の葉の忍の間で流行っている

俺とホマレはまだ恋人ではないが、けん制する意を込めても俺がホマレのを持っていてもいいだろう



「クナイを?
それは構いませんけど…」

なんでという顔

「今日俺がクナイを折られただろう?
それで補充しておきたいんだ」

できるだけ自然に言葉を続ける

「でもこれ新品じゃないですよ
名前も書いてあるし」

だからいいんじゃないか

「補充なら新品で手に馴染んでいる型の方がいいのでは?」


ホマレがいうように、たしかにホマレと俺とではクナイの型が違う
補充目的であればホマレのいうとおり、俺の慣れた型のクナイを補充した方が理にかなっている

だが、そうじゃないんだ



「いや、ホマレのクナイの型
便利そうだなと思って
使ってみたかったんだ」


少し苦しいか…?


「はぁ、、、??

まあこれでいいならいいんですけど」

まだあまり納得してはいないようだが、これ以上俺から要領を得ないと判断したのかクナイを取り俺に渡してくれた


「それじゃあ、そろそろ

お疲れ様でした」

「あぁ、お疲れ」

「じゃあねーホマレさーーん」




ホマレと別れサスケと家路についた








ーーーーーーーーーーーーーーー

うちはの集落にて


「おい!イタチ
なんでお前がホマレのクナイを持っているんだ!?!!

…まさか!?!!!」


「クリスマスもイブもホマレと過ごしたからな
シスイの想像にお任せするさ」

「クリスマスもイブもってそれはお前!
任務だろうが!!」

「任務だろうがなんだろうが事実は事実だ」

「っ!!!!
きーーーー!!!!」


 

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