前作の続き

□尾獣
1ページ/4ページ




「…手を出さなかったんじゃなくて

出せなかったのかもしれないな…」


ふと進みながらカカシがいう

「え?」

なんの話かよく分からず近くにいたサクラはカカシに聞き返した

「いや、さっきの話だよ

なぜ3年もの間、暁は動きを見せなかったかってこと」

「どういうこと?」

サクラはカカシの言葉を待つ
進みながらナルトもカカシの言葉を待っていた

「ナルトには常に自来也様が付いていただろう?
だから迂闊に手を出すことができなかった」

カカシはナルトとサクラにも分かりやすいように確認しながら言った

「暁がいくら抜け忍の名忍の集まりだとしても自来也様を相手にはしたくないはずだ

だからナルトが自来也様と少し離れるのを待った」

多分だけど
とカカシは言った

「いや…

ワシの得た情報では
もっと別の理由があると聞いた…」

カカシが言い終わったとき先を走っていたチヨが口を開く

「人に封じられている“尾獣”を引き剥がすには、それ相応の準備が要るからのォ…

それに手間取ったのじゃ」

「…ビジュウって…?」

チヨの話を聞いたサクラが聞いた

「何じゃ!

綱手の弟子のクセして
そんな事も知らんのかえ…」

チヨは眉を寄せて言った

「“九尾”の事は木の葉では完全に極秘扱いですので…」

進みながらカカシはチヨにいう

「…まぁ…
それもそうかの…」

カカシが言った言葉にチヨは納得し、ふぅと息を吐いた

カカシとチヨの様子をみてサクラは怪訝そうに眉を寄せるが何も言わずチヨの言葉を待った


「“尾獣”とは尾を持つ魔獣の事じゃ

砂は昔から“一尾”を持っておる

それが我愛羅に封じられた守鶴の事じゃ」

「“一尾”…?

それじゃ“九尾”以外にもそんな魔獣が…」

サクラの疑問を受けてチヨは淡々と、だが要点をまとめて尾獣について説明する

「そうじゃ…

この世に“尾獣”は
全部で九体おる」

これまで黙って聞いていたナルトの方がビクっと反応する

自分の中に封印された九尾と同じ尾獣が9体もいるという事に驚いたようだ

チヨは続ける

「“尾獣”には特徴があってな…
それぞれ尾の数が違う


“一尾”は尾が一本
“二尾”は尾が二本
それらが“九尾”まで

その名の通り
名が尾の数を表すのじゃ」

「…」

「“尾獣”は莫大なチャクラの塊で
忍界大戦期には各国 隠れ里が軍事利用しようと競って手に入れようとしたものじゃ



しかし人知を超えたその力を制御することなど誰にも出来なんだ

“暁”が何の為にそれを欲しとるのか分からんが…

危険すぎる力じゃ

まぁ
平穏な情勢の中
時代も移ろい

今や“尾獣”は世界各地に散り散りに存在しておるらしいがの」

「「…」」

チヨの話を聞いてサクラとナルトは考え込むように黙った






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「これは…」

進んでいた最中
地面が大きくくぼみ、その真ん中に砂の忍が倒れていた

カカシたちは急いでそこに駆け寄るがもう息絶えた後だった

「まいったな」

「「?」」

チヨの言葉にナルトとサクラは振り返る

「えぇ、

これは我愛羅君を追ってきた砂の忍

この人をここまでするという事は、奴らの目的は俺ら追手の足止め牽制
そして情報収集」


チヨの言葉にカカシが答える


「そうじゃの…

これは明らかな時間稼ぎ


間違いない…
奴らはすでに“尾獣”を引き剥がしにかかっとる!」

「?」
「?どういうことだってばよ」

ナルトとサクラは首をかしげる

「恐らく奴ら

“一尾”の守鶴で、新たな“人柱力”を作るつもりなのじゃ」


「…時間がないですね…

早く我愛羅くんを助けなければ…」

カカシはその砂の忍の亡骸を見ながら呟く

「…ああ」

チヨも砂忍の亡骸を見つめていた

「ジンチュウリキ…?」

チヨの言った言葉がよく分からずサクラはカカシを見る

「………」

カカシは話てもいいのかと口ごもる
木の葉では九尾のことはもちろん人柱力についても極秘扱いなのだ

「………

説明したな」

カカシの心情を察したのか、サクラの問いにチヨが答える


「“尾獣”は人知を超えた力を持っておると…

そして各国は、それを軍事利用しようとしたと…



“人柱力”とは…
いわばその力をコントロールする存在じゃ」

「…でも
さっきはその力を制御することは誰にも出来なかったって…」

チヨの話を聞いたサクラはさっき聞いた話との矛盾点を指摘する



「結果的にはな…

じゃが、かつて人はその力をコントロールしようとはしたのじゃ

“尾獣”を人に封印することでな」

「「!?」」

「…そうすることで“尾獣”の強すぎる力を押さえこみ

その力を支配しようとした…」

「………」

ナルトはそっと自分の腹を触る

「そして“尾獣”を封印された者

…つまり、我愛羅のような者を

“人柱力”と呼んだのじゃ」


「「………」」


「“人柱力”は“尾獣”と共鳴し
信じられぬ力を使えるのが特徴じゃ

砂の歴史にはこれまで我愛羅を含め、三人の“人柱力”が出現した」

「………


その“人柱力”を使って

…何度も戦争をしたのね…」

話を理解したサクラが言った

「そうじゃ」

「それじゃ!

“人柱力”にされた人は……っ

………くっ」

サクラは唇をかむ

「…どうやれば、その“尾獣”を…

取り出せるんですか…?」

「……!」

サクラの言葉にナルトは驚く

「瞬間的にでも“尾獣”と釣り合うだけの効力を発揮する封印術と
かなりの時間を要する

だがそれをしてしまえば“人柱力”は…」


ーこれは明らかな時間稼ぎ
 間違いない…奴らは既に“尾獣”を引きはがしにかかっとる!−

ー恐らく奴ら
 “一尾”の守鶴で新たな“人柱力”を作るつもりなのじゃ−

ー…時間がないですね…
 早く我愛羅くんを助けなければ…−

「…まさか…」

サクラはこれまでのチヨやカカシの言動を思い出し言葉を詰まらせる

「………」
「………」

ナルトも黙り込み、カカシも黙り込む

「…そうじゃ

“尾獣”を抜かれた“人柱力”は…


死ぬ」

「………」

「さっき言った二人…

我愛羅以外の砂の“人柱力”はいずれも…
体内より守鶴を抜かれ、それが原因で死んだ…」

サクラはチヨの言葉に涙が浮かんできた

「…
相変わらず涙もろいんだな、サクラちゃん…

心配すんなって…」

ナルトはそういった

「…

時間がない
これからはもっと速度を上げて進む

チヨさん
ナルト、サクラ

いくぞ」

カカシたちは我愛羅の行方を捜しにまた走り始めた
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ