中編
□ファーストラビット
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今から10年ちょっと前の話だ
ぴょんぴょんとジャンプをしながら
窓の外を見ると隣の家の前に
引越し屋さんの車があった
あたしは背伸びをし、
窓の外をずっと見ていた
見ていると引越し屋さんの
車とは違う車が来て
そこから人が降りてきた
大人2人に子供1人
その子は女の子で
大きなうさぎの
ぬいぐるみを抱えていた
あたしは急いで
うさぎのぬいぐるみと
同じ大きさであろう
自分の犬のぬいぐるみを抱え、
また背伸びをして
ぬいぐるみと一緒に外を見ていた
ぬいぐるみの手を持って
手を振ると女の子は気づいてくれた
あたしは嬉しくてブンブンと
手を振り続ける
女の子は恥ずかしそうに
うさぎの後ろに隠れて
うさぎの手を持って
こっちに手を振って来た
しばらくすると
その家族は家の中に入っていった
あたしは犬のぬいぐるみを
抱えたまま、お母さんの所に
走っていった
「おかあさん、いまね、
おそとみてたらね
うさぎさんのぬいぐるみを
もったこが、てふってくれたよ」
あたしが嬉しそうに言うもんだから
お母さんは優しく頭を撫でてくれた