中編

□red rose
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仕事帰り、

たまたま通り掛かったお花屋さん

小さいお店ながら、

どこか引き寄せられた私は、

お店に足を踏み入れた


「何かお探しですか?」


振り返れば、キリッとした顔立ちの

女性が立っていた


「えっと…お店が気になったので」


「そうなんですか

ありがとうございます」


ふと目に入ったのは赤い薔薇


「綺麗…」


「薔薇でも色んな色があるんですよ

赤、ピンク、白、黄色、オレンジ、

緑、青、紫…

今じゃレインボーなんてのもあります」


「そうなんですか」


「あたしのオススメは赤い薔薇ですね

情熱的で大好きです」


「私も赤い薔薇が好きかな」


「そうだ!!」


店員さんは赤い薔薇を1本取り、

綺麗にラッピングしていた


「これを貴女に」


「えっ?」


「サービスです」


「お、お金払います」


「いえ、あたしが貴女に

差し上げたいんです」


「ありがとうございます」


「また、よかったら来てくださいね」


家に帰ったが、花瓶なんてものは無い…

空いたペットボトルの上を切り取り、

水を張って、薔薇をさした


薔薇を見る度に、

彼女の顔が思い浮かんでいた
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