リクエスト

□逃避経路遮断
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「花京院君おはよう!」
「花京院君今日もかっこいいね!」
「花京院君香水付けてるの?いい香りがする!」
「花京院君!」
「花京院君!」

承太郎の時でも周りの女子はうるさいと言うのに、花京院が転入してきてからは承太郎推しと花京院推しに別れて2つのグループがうるさくなった。
あっちでは「JOJO!」、こっちでは「花京院君!」、他の男子もかまってあげなよ、可哀想じゃあないか。なんて他人事だけど。
この風景が日常と化し、普通だと思うようになってしまった自分がある意味怖いと思う。
しかし、私にとって日常と化してほしくないことが増えた。

「おはよう、名前」
『…うん』

花京院が私に好意を持ってしまったことだ。転入してきた当初は私も『かっこいいな』とは思ったし今も思っている。ただし外見だけ。内面はというと…

「ねぇ名前、昨日誰と帰ってたの?急いでるからって僕と帰るのを拒んだよね?」

これだ。私と花京院は付き合っていない。告白はされたが、まわりの女子が怖いというのと、特に花京院に対して恋愛感情も抱いてないので丁寧に断った。
断ってからは花京院が私にしつこくまとわりつくようになった。その度に私は休憩時間、放課後と花京院推しの女子たちに集団リンチに合うのだ。しかし、『スタンド』でみんなに見えないのをいいことに、まるで怪奇現象が起こってるかのように脅すと、その女子たちは「今日のところはこのへんで勘弁してあげるわ」と捨て台詞を吐いて逃げていく。
それでも学習をしないのか、何度も何度も繰り返すのだ。

「教えてよ。僕からなぜ逃げる?」
『…昨日は友達と遊ぶ約束をしていたから、その友達と一緒に帰ったのよ』
「…ふぅん、そっか。なら、今日こそは僕と帰ろうね。約束」

まぁ今日は予定も特にないし、帰るだけなら大丈夫だろうと思い適当に返事を返しておいた。するとまぁびっくり。花京院のまわりにお花が咲いたかのような満面な笑顔で喜んだ。その笑顔を私にではなく花京院推しの女子たちに見せてやりなよとため息が出そうになった。
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