リクエスト
□33cm差の余裕と緊張
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しばらく典明に抱きしめられたままベットで寝転がっていると、典明が動かなくなった。私のうなじのところに顔をうめて抱きしめているから後ろを振り返ることができないが、多分寝ているわけではないだろう。
『…典明?』
「…ん?」
『眠いの?』
「…いや、眠くはない。せっかく名前と一緒にいるんだ。寝る時間なんて惜しいよ」
『そ、そう…。突然動かなくなったから眠くなったかと思った』
「っ……」
また黙り込んで動かなくなってしまった。一体どうしたのだろうか。とりあえず後ろに手を伸ばし典明の頭を撫でると面白いほど身体をビクつかせた。
『大丈夫?なんだかおかしいよ?』
「おかしい…おかしいのか…。なぁ、名前、僕は君と二人きりでいるだけでもいっぱいいっぱいなのに、今はこうして密着状態で…名前は何ともないのかい?」
『…それは、つまり……』
「僕は君に興奮しているんだ。我慢しようとはしているんだが…正直ツラい。僕だけなのかな。君は僕に興奮しないのか?」
『お、落ち着いて、典明!』
相当切羽詰まっているのか、いつも冷静なはずの典明が今はどこか焦っているような感じがする。抱きしめている腕の力が少し弱まったので身体を動かし典明と向き合う形になり、典明の頭を撫でて落ち着かせる。すると、猫や犬が甘えてくるように私の手に頭を「もっと撫でて」というように擦り付けてきた。可愛い。
『つまり、典明は私と…したい…ってこと?』
「名前は受験勉強で忙しいし、こういうことはお互い大人になってからのほうがいいとは思っている。思ってはいるんだが……すまない」
本気で悩んでいるようで俯いてしまった。