リクエスト

□逃避経路遮断
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午前の授業が終わり、お腹が空いてきた頃。以前は屋上に行けば承太郎がいた。2人で話しながら弁当を食べていた時もあったが、花京院があの性格になってからは、承太郎と遭遇することが減り、一緒に弁当を食べることも無くなった。代わりに花京院がまるで「待っていた」というような面をして屋上にいるのだ。
だから私は屋上をやめて、あまり使われていない教室で弁当を食べようとすると、「ここにいたんだね」と教室に入ってきて一緒に食べ始める。
どうして私の場所がわかったのか…まさか、彼も『スタンド』使いなのだろうか…。
何にせよ、私がどこにいようとすぐにバレてしまう。
さて、今日はどこで食べようか。ちらりと花京院の方を見ると、花京院のまわりはいつものように賑やかだった。

「花京院君、私弁当作ってきてあげたの。食べてくれる?」
「あ、ズルい!私も作ったんだからね!あんたのマズそうな弁当食べさせるなんて花京院君が可哀想!」
「あんたの弁当のほうがマズそうよ!」

どうやら喧嘩が始まったようだ。

「まぁまぁ、君たちの思いには感謝してますよ」
「キャーッ!花京院かっこいい!」

花京院が笑顔で対応するとまわりの女子たちはキャーキャー興奮し始めた。しかし、あの笑顔は偽物だ。冷たい笑顔だ。なんて、区別できるようになってしまった自分に嫌気がさす。

「しかし、僕は君たちの弁当を受け取れない」
「なんで?!名字の弁当のおかずは食べてたのに?!」
「なにそれ!?」
「私見たもん!花京院君、以前名字に無理矢理アーンさせらたんでしょ?」
「うわぁ、最低!」

待ってよ。無理矢理させられたのはむしろ私だ。何が好きで花京院にアーンをするか。私はあの笑顔に脅されてやったんだぞ。

「名前を悪く言うな」

ピシャリと花京院は冷たく発した。
それにより、まわりの女子たちはシンと静まり返った。

「無理矢理させられてなどいないし、僕が頼んでやってもらったことだ。僕が許すのは名前だけだ。次名前の悪口を言ったら…覚悟していろ」

そう言って花京院は私の方に振り向き笑顔で「一緒に食べよう」と誘ってきた。もちろん花京院のまわりにいる女子たちみんなに睨まれた。私は悪くないぞ…。
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