リクエスト

□逃避経路遮断
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そんなに嫌なら一緒に食べなければいいじゃあないか、と思ってるかもしれないが、そうもできない。先ほど言った通り、すぐ居場所がバレるというのもあるが、以前「友達と食べるから」と一度断ったことがある。
すると、あろうことか、その友達を花京院が脅していたのだ。あの冷たい笑顔で「名前は僕と一緒に弁当を食べるから」と。
だから、私は花京院の言うことを聞かざるを得ないのだ。物理的な被害はまだでていないにしても、これ以上私の友達に被害が及ばないためにも、だ。

「名前、今日はいい天気だから屋上で一緒に食べようか」
『…そうね』

私たちは屋上に移動し、フェンスにもたれかかって座る。花京院は私の真横に座った。それはもう、恋人同士だと間違われるんじゃないかと思うくらいピッタリと。
特に喋ることがないので無言で食べていると、突然花京院が話しかけてきた。

「ねぇ、名前は『スタンド』が見えているんだよね?」
『!?』

やはり、花京院は『スタンド』使いだったか…!今まで『スタンド』使いに会ったことはないが、何をされるかわからない。身を構えていると、花京院は「フフッ」と笑った。

「大丈夫だよ、警戒しなくても。名前が変なことをしない限り、僕は君に何もしない」
『…そう』

変なこと、とは一体何だろうか。

「僕のせいで、君は昼休憩と放課後に呼び出されているんでしょう?ツラかったね。ごめんね」
『なっ…知っていたの?』
「あぁ。僕の『スタンド』はね、数百m以内ならどこでも伸びるんだ。だから、名前を探すなんて容易いことさ」
『…フン、それなら助けてほしいものね。いつもあなたのせいで苦労しているんだから』
「…うん、ごめん。名前は強いってわかってるから…。でも、いざという時のためにずっと見守っていたんだよ?僕の大事な名前に傷を負わされないようにね」

…僕の大事な?待てよ。私はちゃんとあの告白を断ったぞ。それはきちんと覚えている。

『花京院、私たちは恋人同士じゃない』
「…何を言っているんだ?確かに君は僕の告白を断った。でもあれは照れ隠しでしょう?もう恥ずかしがらなくていいんだ。僕たちは両思いの素敵なカップルだよ!」
『…なに…を…』

花京院の言葉を撤回してもらおうとしたら、突然首に何かが巻きついてきた。軽く首を絞められ苦しい。

「…名前、僕から逃げないで。僕は名前を愛している。なにが不満?もっと愛して欲しいの?いくらでも君に付き合うよ。言ってごらんよ」
『私は…あなたなんて…』
「名前」

どうしてそんな顔をするの?どうして泣いているの?私の方が泣きたいよ…。
すると、屋上への扉がガチャリと音を立てて開いた。
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