オレとお前の3メートル

□4 〜やっぱり〜
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「とーちゃく」


本部に戻ったオレは、スクアーロに報告書を届けに行く。


コンコン


「だれだぁ゛?」


「オレ」


「入れ」
 

隊長室に入ると、スクアーロは片手にコーヒーを持ち、束になっている資料を読みあさっていた。


「やっぱ、隊長は忙しそ〜だな」


‥王子ぜってーやりたくねぇ


「そう思うなら手伝ぇえ゛え゛」


「やだね」


コツ、コツ、コツとわざと足音をたてて歩く。

机の前に立ち報告書を出した。


「あ゛?…今度はちゃんと書いただろうなぁ?」


ギロッと睨まれた。

昨日の報告書を適当に書きすぎたせいでいつも以上に目つきが悪い。


「しっしっそう睨むなって。じゃ、渡したから行くぜ」


スクアーロに背を向け歩き出す。


「おい、ベル」


「何だよ」


スクアーロに顔だけ向けた。


何か、報告書のことで文句を言われそうな気がする。昨日よりはましに書いたが、適当に書いた部分多い。


「名無しさんが探してたぞ」


「名無しさんが?」


「ああ、多分部屋に居ると思うぞ?」


「…わかった」


名無しさんがオレを探してた。それだけで一気に疲れが吹き飛んだ。

 
 
 
 
隊長室から出てその足で名無しさんの部屋に向かった。


オレに何のようだろうか。もしかして、フランと喧嘩でもして愚痴を聞かされるのでは?いいや、ノロケ話を聞かされるかもしれない。


こんな愚痴やノロケ話を聞かされるのでは?ということを考えているが、聞かされたとしても嬉しかった。


名無しさんがオレを探している。これだけでもう満足できるくらいに。


「っと、ついたな」


名無しさんの部屋の前につき、ノックをする。

が、なにも返ってこない。


「おかしいな?」


コンコン


「‥………」


コンコンコン


「‥…」


ノックを何回もしているのに一向に返事が返ってくることもなければ、ドアが開くこともなかった。


「名無しさん?入るぜ」


ガチャン…ガチャガチャ‥


「‥…。」


鍵が閉まっている。


普段部屋にいるときは鍵なんて閉めない‥…ということは。


「どこいった?」


部屋にいない。時間は深夜2時。

この時間帯から考えて食堂はありえない。 

談話室も多分居ないだろう。


ということは‥‥フランの部屋?


あいつの部屋には行きたくない。つーか、近寄りたくもねーな。


「‥…」


オレは部屋に戻ることにした。
 
 

*オレとお前の3メートル*
 
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