セカンドヤマト

□第5話 衝突
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 地球から発進できたとはいえ、長官以外の命令を受けた、ヤマト阻止に躍起になっていた参謀総長あたりが防衛軍に命じて追撃をしてこないとは限らない。
 なにしろ、自分たちは『反逆者』だ。
 こと、新造艦、アンドロメダの航行能力は侮れない。
 そのため、第一艦橋では、油断せず、警戒を行っていた。
「飛行編隊確認!急速接近中!」
 太田が報告するのに、第一艦橋に緊張がはしる。
「メインスクリーンへ切り替えます!」
 太田がスイッチングを行うと、そこに地球防衛軍の新鋭艦載機の編隊が映し出されていた。
「月面基地から発進してきたようだな」
 真田が計算したらしく、報告してくる。
「まさか攻撃してくるつもりじゃないだろうな」
「…わからんぞ…なにしろ俺たちは反逆者だからな」
 島と真田の会話に、砲術長の南部は
「冗談じゃない!同士討ちなんてごめんだぜ!」
 と顔をしかめて吐き捨てる。
「総員、警戒態勢につけ!」
 艦内にブザーが鳴り響く中、全砲術士官たちが各々の持ち場でいつでも発射できるように待機する。
 一方、艦載機の編隊はヤマトに近づくや、そのまま後ろへと回り込み、そして再び前にやってきた。
 と、その中の先頭に立つ中央の一機が、翼を傾けてしきりに振っている。これは、飛行機乗りたちの友好の意志の表現の仕方だ。
 と同時に、相原の席にある通信機から、声が聞こえてきた。
『こちら、元ブラックタイガー隊長、加藤三郎。着艦を許可されたし!』
「加藤だ!」
「加藤の声だ!」
「あいつが来てくれたのか!」
 第一艦橋が先ほどの緊張から一気に解き放たれる。
「何をぐずぐずしてるんだ!早く着艦口をあけろ!」
 口調こそ荒いが、加藤は白い歯を見せて笑っている。その加藤隊に続いて、別の艦載機の一団が近づいてくると同時に通信が入ってくる。
『こちら、月面基地航空団、山本!着艦許可されたし!』
『同じく、月面基地航空団、鶴見!着艦許可願います!』
 続々と、新鋭の艦載機の一団が、開かれた格納庫のハッチに滑り込んでくる。
「加藤!山本!鶴見!」
 古代はやもたてもたまらず、第一艦橋から格納庫へと出迎えに飛び出していた。
「よく来てくれたな!」
 加藤と握手をかわすと、加藤は「ひどいぞ、俺たちをおいて行くなんて!」と笑いながら文句を言う。
「すまん、なにしろ急なことだったんでな…仕方がなかったんだ」
「まあ、そうらしいな。月面基地でも大騒ぎだったぜ、ヤマトが謀反を起こした、ってな。けど、お前たちがそんなことをするとしたら何か理由があってのことだろう、と思ってな」
 ヤマト反乱の一報に、月面基地でもヤマトの旧乗組員たちが集まり協議の結果、ヤマトに同行することを決めた。それだけでなく、新しい隊員たちも、それぞれ加藤や山本を慕って、続々と参加を表明したという。
 古代はかいつまんで、謎の通信と巨大な彗星、それらが無関係ではない可能性、その謎の通信者を探すために防衛会議に逆らってヤマトで発進したことを告げた。
「なるほどな。だが、確かに、宇宙から受けた恩は、宇宙に返すべきだ。やっぱりお前たちと合流して正解だったな」
「本当に心強いよ。コスモゼロしか戦闘機はなかったからなあ…」
 古代が言うのに、加藤はにやり、と笑って見せた。
「いいぞ、今度の新型機、コスモタイガーは。まあ、手土産にするには、ちょっと気が咎めたけどな」
 だが、加藤の表情には言葉とは裏腹に悪びれた様子がない。つられて古代も笑いだした。

 だが、嬉しいことばかりではなかった。
 火星から木星へと向かう途中に、背後から大型艦が接近してくるのがレーダーに捉えられたからだ。
「左舷、後方2000、大型艦です!」
 メインスクリーンに映し出されたそれは、まぎれもなく、地球防衛軍の旗艦、新造戦艦アンドロメダだった。
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