セカンドヤマト
□第7話 戦端
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外周艦隊の異変は、地球でも把握されていたらしく、メインスタッフが作戦室から第一艦橋に戻り、そして、雪の姿を南部や相原や太田が確認してびっくりしているその最中に、地球から通信が入ってきた。
『ヤマト、聞こえるか』
「長官!」
一同はさっ、と敬礼する。
『太陽系外周艦隊、第11パトロール艦隊が連絡を絶った。何か情報を掴んでいないか』
「長官、残念ですが、ヤマトが到着する前に、旗艦『ゆうなぎ』以下、艦隊は未知の敵の攻撃を受けて…生存者は、土方艦長おひとりだけでした…」
長官がわずかに、息を飲む音が聞こえた。
『そうか…君たちの予測が正しかった、ということだな…それに、他の監視衛星にも通信が途絶えたものがある。ヤマトも充分に気をつけてくれたまえ』
「他の、監視衛星も?」
『そうだ。こちらでも地球防衛の為の準備を進めている…遅きに失した感はあるが…』
長官はどうやら、土方艦長率いる艦隊が撃滅されたことに責任を感じているようであった。
『…私からよろしく、と土方くんに伝えてくれたまえ。そして、何か新しい情報があれば…』
いきなり、メインスクリーンが乱れて、長官の姿が消える。
「例のメッセージです!」
激しい上下の波形を示す、特徴的な通信が入り込んできた。
『…宇宙の…さん……白色…危機が…』
「相原、どいてくれ!」
いきなり、島が通信席に割り込む。
「ちょっと、島さん、通信班長は俺ですよ!」
「わかってる、だが、発信源を探る手がかりは、航海の道筋の手がかりは、これしかないんだ!」
島はメッセージの内容よりも、その入力がどの方向からくるのか、といったことに神経を尖らせて、妨害電波の為か、はっきりと表示されず、明滅する発信源の位置情報のパネルの数字を睨んでいる。
「…相原、このメッセージに関しては、島に任せろ。確かに、発信源を探らないことには新しい情報も入らない」
古代が言うのに、相原は不承不承、といった様子であったが、その分相原はメッセージの内容の方に耳を傾けている。
「こちらヤマト、こちら宇宙戦艦ヤマト、あんたは誰だ、今、どこにいる!?」
『……私は……の……時間が………一刻も早く……危機を……は……』
そこで、ぶつり、とまた途切れてしまったが、島はパネルを凝視して、呟くように、また自分に確認させるように
「左右角、12時01分11秒、上下角、」42度03分。それだけだ」
と言った。
「上出来じゃないか、島!」
島は頷いて、操縦席に戻ると、航路の調整を始めた。
「しかし、他の監視衛星に対しても攻撃をしているということは、相手の狙いは地球にある、という可能性が高まった、ということか…」
「やはり、あの彗星が、関係しているんでしょうか」
古代の問いに、真田がおそらく…と言いかけた時だ。森と太田の報告が相次いだ。
「前方に、多数の金属反応!」
「12時の方向に、艦隊発見!戦艦クラスが3、巡洋艦、駆逐艦クラス、総計20!」
「なに!?メインスクリーンへ切り替えろ!」
そこには確かに、見たことのない艦隊が並んでいる。
「相原、所属を明らかにしろ、と打電しろ…通じる相手だといいんだがな…」
だが、古代の言葉には、おそらく…といった想いがあり、そしてそれは、第一艦橋のメインスタッフ全員が思っていたことだ。
「小型機確認!艦載機です!」
「応答ありません!」
太田と相原の報告にぐっ、と古代は口唇を噛みしめた。あちらの返事は艦載機の出撃らしい。
「総員、戦闘配置!」
非常ブザーが鳴り響く中、南部の報告が入る。
「敵艦載機、パルスレーザーの射程距離内に入りました!」
とたん、あちらの艦載機がミサイル攻撃をヤマトに仕掛けてくる。
「パルスレーザー砲、掃射開始!」
円盤型の艦載機に向けて、パルスレーザーが一斉に発射される。