絵付き夢小話
□才蔵
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「…だいじょーぶ?」
「だ、大丈夫ですっ!」
「いや、でも、ビックリしたよ」
くすくす笑い声と共にそう言われ、顔が熱くなる。
考え事をしながら、上の空で歩いていた私が悪いのだけれど。
誰かに見られていたというだけでも恥ずかしいのに、よりにもよって才蔵さんとは。
…上の空になった原因、才蔵さんにあるんだけどな。
恨みがましい視線を向けると、首を傾げられる。
「何?」
「…何でもありません」
才蔵さんのせいだと言っても、才蔵さんが悪い訳ではない。
団子を作って、その皿を抱えて歩いている時に。
素直に喜んでくれるかな?才蔵さん。
それとも、何でこんなに団子を作ったのか、詮索されちゃう?
団子に秘めた好意に、気付いて欲しい。
――でもやっぱり、気付いて欲しくない。
そんな考え事をしながら歩いていたら、目の前の柱に見事に激突した。
手にしていた団子と皿は宙に舞ったけれど、たまたま通りかかった才蔵さんが見事に受け止めてくれたお陰で、団子の1本も無駄にはならなかった。
「何の躊躇も無く柱に向かって歩く人間を初めて見たよ」
「それは光栄です」
「大量の団子が宙に舞う光景も初めてだね」
「夢のような光景で良かったですね」
からかいの言葉を、ニコニコ笑顔でかわす。
「で?」
「何ですか?」
まだ何かあるの?
さすがに笑顔が引きつってくる。
「おでこ、腫れてないの?」
「この位、舐めておけば治ります」
心配してくれているのだろうに。
我ながら可愛くない。
「ふーん?どうやって舐めるのさ」
「こ、言葉のあやです!その程度の怪我ってことですから。大丈夫――」
すぐ目の前に現れた才蔵さんに、目を見開くと同時に。
ちゅっ
おでこに生温かい感触。
「!?」
おでこに口付けされたと思ったら、そのままぺろりと舐められた。
「……!!」
「あー、たんこぶになってる。舐めたくらいじゃ治らないよ?」
「な、な、舐めてから言わないでください、才蔵さん…!」
おしまい
ふつーに長いね、これ\(^o^)/
絵を描いてから文章を考えたら、長くなっちゃいました。