絵付き夢小話
□成実
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「で？」
「え？」
「どうなんだ？小姫」
「…………」
真っ直ぐにこちらを見つめる成実様を、困惑しながら見つめ返す。
その問いに対して、素直に気持ちを伝えるべきか否か。
だって。
本当の気持ちを伝えてしまったら……。
「…その沈黙はさ、駄目ってことなのか？」
視線を逸らしながら小さくため息を付く成実様に、慌てて口を開く。
「そんな、ち…！」
違う、と言い掛けて、止まる。
ここで違うと言ってしまったら。
それはもう、好きだと認めることと同じだ。
「ち、なんだよ？」
ズイッと、成実様がこちらへと顔を近づける。
「違う、なんだろ？」
「そ、それは……」
「はっきり言ってくれないか？」
「でも…それじゃ、成実様が…」
「俺が？」
「ま、政宗様と小十郎様に、半殺しにされてしまいます…！」
少し前の、三人の会話を思い出す。
「分かっているな？成実。小姫に手を出そうものなら―――」
半殺しだ。
息ぴったりに、二人からそう釘を刺されていた。
「何だ、そんなことを心配してたのか」
成実様は、苦笑しながらこちらを見つめる。
「それなら安心しろ。それは頭に、『遊びで』が付くし。それに――」
一呼吸置いて、甘やかな笑みを浮かべてこちらを見つめる。
「小姫が好きって言ってくれるなら、俺、半殺しにされてもかまわない」
「！？」
一瞬で熱を帯びる頬の熱さに戸惑っていると、成実様は照れたように少しだけ視線を逸らす。
「あー、むしろ、あれだな。嫌いって言われたら、半殺しよりも辛い」
その言い方が、如何にも成実様らしくて。
くすりと笑いながら、その顔を見つめて口を開く。
いい加減、私も覚悟を決めよう。
「…好きです、成実様」
「おし！ようやく認めたな！」
「！？な、なんで鼻をつまむんれすか…！」
「んー？俺を焦らしたおしおき！」
ニコリ笑顔のまま、楽しそうに成実様は私の鼻をつまむ。
「もう、はなすてください…！」
「これに懲りたら、今後はちゃんと素直になるんだぞ？」
うんうん頷くと、笑顔で手を放してくれる。
「でも、本当に大丈夫なのですか？成実様。半殺し…」
「２、３発位、殴られるのは覚悟してるけどさ。取りあえず今は、ばれなきゃいいってことで」
人差し指を口に当て、成実様はニコリと笑う。
「二人だけの秘密、な？」
おしまい