半蔵

□離れない
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「離してくれませんか」

「嫌です」

「…後悔、しますよ?」

「後悔するのなら、しなかったことを後悔するより、したことを後悔したいです」

「…困ったな」

そう言って半蔵さんは、困り顔で小さく笑う。

「離れたくない気持ちは、小姫さんと一緒です。しかし…貴女を不幸にはしたくない」

「そう思うのなら、お傍に置いてください。半蔵さんと離れたらもう、今の私は、それだけで不幸だから…」

半蔵さんは、ふうと小さくため息をつく。

「…私の負けです。全く、貴女には敵わない」

その言葉と笑顔が嬉しくて、目の前の胸へと飛び込む。

「…幸せにするというお約束は出来ませんよ?」

「大丈夫です。だって…」

目の前の顔を見上げて、ニコリと笑う。


「私が、半蔵さんを幸せにしますから!」


苦笑交じりの笑顔と、優しい抱擁が返って来て。
今はただ、その温もりにそっと身を委ねた。


おしまい

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