夢小説(短編)

□ウソホント
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「それじゃ、まずは小手調べだな。才蔵、お前の一番好きな食べ物は団子か?」

「まあね」

「本当です」

答えるまでもないかと思ったが、一応、そう言って信玄様を見る。
目と目が合うと信玄様は満足そうに頷き、すぐに才蔵さんへと視線を移す。

「中でも小姫の作る団子が大好物か?」

「…まあね」

「…ほ、本当です」

一瞬間はあったけれど、面と向かって言われるとかなり嬉しい。
ほんのり熱い頬のまま信玄様を見ると、信玄様は意味ありげににやりと笑う。

え、何?

気にはなったけれど、すぐに信玄様が才蔵さんへと向き直ったため、私も慌てて才蔵さんを見る。

「でも、食べるなら団子よりも小姫か?」

「!?」
「なっ!お、お、御屋形様、何を聞いているんですか!?」

驚いて声が出そうになったところで、真っ赤な顔の幸村様が先に声を発した。

「まあまあいいじゃねえか。才蔵、ちゃんと答えろ。小姫はちゃんと才蔵を見ろ」

「は、はい」

慌てて才蔵さんを見上げると、才蔵さんは苦笑によく似た笑みを浮かべている。
そして、まるでそれをごまかすかのように、にこりと満面の笑みを浮かべて口を開く。

「まあね」

「!?」

「おい、小姫、真偽はどうした?」

「……です」

「ん?」

「ほ、本当です!」

顔が熱い。
真っ赤な顔を皆に見られたくなくて、俯いたまま声を振り絞ってそう答える。

ど、どうしよう。
恥ずかしくて、すぐに才蔵さんを見ることが出来そうに無いよ…。
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