夢小説(短編)
□愛しの君への贈り物
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「あ、何か見つけたっ!」
嬉しそうな声と共に炬燵から出てきた佐助くんの手に、小さな箱が握られていた。
寄木細工で作られたそれは、どこか可愛らしい印象を受ける小箱だ。
「これ、からくり箱だな!」
「からくり箱?」
「ほら、ここの蓋の模様。ちゃんと順番通りに動かさないと開かないやつだ!先生が作ったんだと思うけど、何が入っているのかなー」
佐助くんが箱を開けようと、その仕掛けへと手を伸ばしたその時。
「やめろ、佐助」
その声と共に幸村様が、佐助くんからその箱を取り上げる。
「ええー、何するんですか、幸村様ー!」
佐助くんが抗議の声を上げると、幸村様は呆れたようにその顔を見る。
「何をするんだはお前だ、佐助。この箱、どう見てもおなごの物だろ?だから――」
幸村様はこちらへと振り返り、私へとその箱を差し出すように腕を伸ばす。
「きっとお前にだ、小姫」
「私に…?」
笑顔と共に差し出されたその箱を受け取る。
「ありがとうございます、幸村様」
お礼を言いながら、その箱を見つめる。
可愛い。
そう思った。
この箱、本当に才蔵さんが、私にって作ってくれたのかな…?
嬉しくて、自然と胸と目の奥が熱くなる。
気を抜くと泣いてしまいそうだ。
「中に何が入っているかは分からんが…」
幸村様のその声に顔を上げると、優しい笑みが返される。
「俺が才蔵だったらきっと、小姫に開けてもらいたいと思う」
才蔵さんが作ってくれた小箱。
これだけで十分嬉しいけれど、中には一体何が入っているのだろう。
「私、頑張って開けてみますね」
「おう!才蔵が帰って来る前に開けて、ビックリさせてやれ!」
「はい…!」
少しだけ涙目になりながら、出来る限りの笑顔を返した。