夢現...

□微睡み
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高田と琴音が利息の回収から戻ってきた。
いつものように軽い返事をしてデスクにある札束を数える。
高田はデスクに戻って残りの仕事に取り掛かったが琴音は、突っ立ったままぼんやりとしていた。




「おい、琴音。」




柄崎がそう呼びかけると同時に傾いた体。
突然のことでも表情を崩さずに見ている。




「琴音!!」




柄崎が抱きとめて床に打つかるのは防げたみたいだが。
高田も琴音の元に駆け寄って心配していた。




「琴音しっかりしろ!」




「柄崎さん、大丈夫ですよ寝てるだけみたいです。」




琴音の口元に手を当て息をしてる事を確認して柄崎を落ち着かせる高田。
柄崎の腕の中の琴音は俺が渡したパーカーの襟元に顔を埋めながら柄崎に擦り寄った。




『母さん…』




消え入るような声でそう呟きながら、すぅっと寝息を立て始めた。
人の事は言えないがこいつも笑わない奴だなと思った。




「社長、琴音疲れちまって寝ちゃったんですけど…どうしますか?」




柄崎が琴音を横抱きしてデスク前まで来る。
定時まで時間あるし、同じ空間に過ごすのに運ぶのまでするとは…眉間に皺が集まるのがわかる。




「そこのソファーに寝せておけ。」





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