DREAM
□はじまり
1ページ/12ページ
はじまり。
ちょうど8年前の今日、
私の母親は姿を消した。
一緒に暮らしていたアパートの鍵と預金通帳がテーブルの上に置かれ、
それと一緒に1通の短い手紙やアクセサリーも添えられていたっけ。
手紙には高校卒業を見届けたからお役御免だね、
的なことが書いてあった気がする。
元々娘である自分に干渉したりベタベタする親ではなかったし、
私自身も早くから自立できていたからか、
母親がいなくなっても生活に支障はなかった。
友達は少なかったから、
話し相手がいなくて寂しくて泣いた日もあったけど・・・。
バイトの帰り道。
コンビニで買ったパンとジュースが入ったレジ袋を持つ左手。
その手首には黒とヒスイ色の石のブレスレットが、
夜の明かりに照らされて時折キラキラと光を反射していた。