DREAM
□生と死の間で。
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朝。
ベッドの感触・・・ふわりと掛けられた毛布の香り・・窓から差す朝日の角度・・・
(こんな部屋だったっけ・・・)
ぼーっとする頭で、
この里で与えられた自分の部屋の間取りを思い出しながら、今度はしっかりと瞼を開けた。
(こんな天井だったっけ??)
はっきりしてくる意識。
なぜだろう、ものすごい頭痛が思考の邪魔をする。
(う・・お・・重い・・・!)
胸の上に乗った重量のある動かない何かに気付いて顔を少し動かしたときだった。
「・・!!カっ・・・・!!」
(カ、カカシさんっ!!?)
顔を右に向けると、ふわりと柔らかそうな銀髪。
カカシが、口布を外した素顔のまま、すやすやと眠る顔がそこにあったのだ。
体をぴったりくっつけて、腕は胸のすぐ下に乗せ、ゆなのわき腹を大きな手がカカシの体へ引き寄せるように当てられていた。
驚いて一瞬声が出てしまったが、反射的に声を押し殺したからか、カカシの閉じられた瞼もスゥスゥという寝息もそのままだった。
(ななななっ・・なんでこーなってるーっ!!
き、昨日は確かぁ・・・、あぁそうそうコテツさんと飲み屋で〜・・
んでもって〜・・・ん〜?
あれ?・・・
あれれれれ??
途中から記憶が無いんですけど・・・。
いつ終わった?いつ帰った?
どーやって帰った??
いやいや、ここ私んちじゃないから帰れてないんだけれども・・・。
・・ここ、カカシさんの部屋・・かな?
でも、な、なんでカカシさんが・・??
ちょ・・・ちょっと待って・・・
私もカカシさんも・・・
ふ、服着てないんですけどー!!!)
腰のあたりからかけられた毛布で見えないが、少なくとも自分は下着と白い男物のTシャツしか着ていない。
・・足を少し動かした感じ、ズボンも履いていない模様・・。
カカシのその肩口を見るからに少なくとも上半身に服は着ていないようで、その鍛え上げられた腕を見ただけで赤面してしまった。
動揺でうろたえていた視線を落ち着かせ、再びカカシの顔を見る。
普段は口布で隠された鼻から下は、隠す理由が分からないほど端正で整った顔立ちをしていた。
(目のとこ、隠してたけど怪我してたんだ・・・)
寝顔を見つめて一人赤面するゆな。
けれども再びこうなった経緯を思い出そうにも、コテツの顔しか浮かんでこないせいでさらにうろたえた。
その時。
「その様子じゃ、やっぱり覚えてないみたいだね・・」
小さく優しいカカシの声が耳を掠めた。
「わっ!・・・起きてたのっ?」
「うん。少し前から。」
そういうと閉じたままだった瞼をゆっくり開き、目の前にいるゆなを見つめた。傷の付いた瞳だけ色が違っていて、それが深紅の鋭い眼光なのに、不思議と恐怖や威圧は感じなかった。
「その目、隠してたけど・・すごく綺麗だね・・。
あ、ごめん・・カカシさん・・、えと・・、私何も覚えてなくて・・・、
ここ、カカシさんちだよね?
コテツさんと飲んでたんだけど、途中から記憶がなくって・・・。
普段あまりお酒飲まないし、飲みすぎで失敗したこともあったから気をつけなきゃって思ってたのに・・。」
カカシに見つめられてドギマギしながら話していたが、ついにその視線に耐えられなくなり、胸の上のカカシの腕をそっと押しながら起き上った。