DREAM
□解読。また会う日まで・・・
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カカシとゆながやっと結ばれた夜から2週間が経った頃。
ゆなの視力は完全に回復し、解読に必要な印も完ぺきに覚える事が出来た。
「お前がカカシと修行をしている間、この巻物をこちらでまた細かく調べていたんだが、どうやらいろいろな仕掛けが組み込まれているようなんだ。」
「仕掛け・・?」
「ああ。つまり、解読を始めると何かが起こる。それが一体どんな仕掛けなのか、ということまではわからんが、何が起きてもいいように、解読の場所と時間はこちらで指定させてもらうが、ゆな、いいか?」
「・・・・はい。問題ありません。」
「しかし、お前は大した奴だよ・・・。一度もチャクラを練った事がないのに、この2、3カ月で影分身まで習得するとはねぇ。鬼火一族・・やはり伝説になるだけあるな・・。」
「いえ・・、目が見えなかったから感覚に集中できましたし、カカシがサポートしてくれたのですぐ習得できたんだと思います。でも、覚えられたのはいくつかの術だけですし・・」
「まあ、確かにな。忍になるためには術だけでなくいろいろな戦闘術なども身につけなければならないしな。それだけ言えばお前もまだ忍とは呼べないが、里にとって重要な人材であることには変わらないよ。」
「・・ありがとうございます・・。」
「1週間後の15時にとりあえずここへ来い。場所は直前までは誰にも教えられん。慎重を期すためだ。それと、もしかしたら向こうに帰れるかもしれん・・。一応、身支度もしておけ。・・それまで心の準備をしておくといい・・。」
「1週間後・・ですね。・・・はい、わかりました。」
術の習得も済んだし、あとは解読だけという段階にきて、初めて不安を覚えた。
それは綱手から仕掛けについて聞かされたからだ。
「仕掛け?」
「うん、そうなの・・。綱手様も慎重になってるみたいで。」
「なるほどな・・。つまり、解読を始めると、それに派生して他の術も始動してしまうってことだ。単なる文字の解読だけじゃないってのは確かだな。鬼火は時空間忍術の使い手だから、俺にも知らない術もきっと持っているんだろうねぇ・・。」
「鬼火・・・。」
火影室からほど近いビルの屋上にカカシと二人で座って、さきほど綱手から伝えられたことについて話していた。
ゆなは左手首のブレスレットを右手できゅっと掴んだ。
以前に綱手が教えてくれた。
このブレスレットに使われている石は、特定の場所でしか取れない貴重な鉱石で作られている。あっちの世界でいうオニキスとヒスイのような黒と翡翠色の透明感のある石だ。
鬼火の力を受け継ぐものは、潜在的なチャクラの量の多少に関わらず、その石を介して自然エネルギーを己のチャクラへと変換することができるのだそうだ。
以前の森の中での戦いの際に起こったチャクラ放出はおそらくそれだろう。
綱手の話によれば生きたいと思う意志の強さと戦わなければという気持ちに、石が強く反応したのだろうということだ。その後の目まぐるしいチャクラ術習得は、この出来事が体のチャクラを生み出すスイッチを入れるきっかけになったらしいが。
それ故に膨大で繊細なチャクラコントロールの必要な時空間忍術を得意としていた。
独自の繁栄の中で生み出された術は、異次元へと繋がっていくようになったが、その力を戦争に利用しようと企む者達が現れてしまった。現世と異次元の両方のバランスを保つため、鬼火一族は自ら滅亡したと伝えられていた。
だが現にゆな自身、鬼火の末裔としてここに、この世界に存在している。
「・・私は・・・どっちの世界の人間なんだろう・・」
遠くを見つめるゆながポツリと呟いた。