DREAM
□はじまり
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母がいなくなったあの日、
テーブルに置いてあったアクセサリー。
疲れている時や、
体調のよくないときでもこれをつけるとなんとかその日を乗り越えられた。
不思議な感じもあったが、
一人じゃないと思えるから身に着けていた。
寂しさからかもしれないが。
家まであと400メートルほどのところにある小さな公園。
いつもは若いカップルや、
犬の散歩で立ち寄っていく人など、
誰かしら人がいる場所だが…。
(珍しい…。誰もいないんだね。)
ふと不安になる。
すると、小さな光が動いた気がしてハッと振り向くと、
ブランコのそばでホタルのような小さな光が何個か空中でフワフワしている。
5月の夜だ。
「ここがど田舎だとしてもこの時期にホタルはあり得ないでしょ〜」
でも、恐れや不安は無かった。
なんだか知っているもののような、
懐かしいような温かい感覚だった。
「なに…これ…」
ゆっくり光に近付き、手を伸ばした。
光の一つに指先が触れた、そのときだった。
「…っ!!?」
光が急に激しく動き出し、
何もない空中に文字のような絵のような、円形の絵を描いた。