DREAM

□火の国、木の葉の里。
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ゆなを見つめるシズネの眼差しには、

不安と怒りと冷静が混在していた。

それをはっきりと感じたゆなは、

ここへ来てしまった理由は分からないけれど、

この里を、

この人たちを不安にさせている原因が自分にあることを改めて知り、

申し訳なさでいっぱいになった。


「いや、あの・・・ごめんなさい。

 私のせいで皆さんを不安にさせてしまって。

 抵抗は・・しません。

 ・・・協力します。」


ゆなの脳裏に、

カカシに抱えられて木の上に身を潜めたときに現れた二人組の男の声が蘇った。

姿は見ていないが『アレは捕獲対象外』という言葉を使うその時点で、

人を人と思わないような恐ろしい連中だったのかもしれない。

もし自分を先に見つけたのがあの二人組だったなら・・・想像してゆなは背筋が凍る思いがした。


訳も分らぬまま、

この里に連れてこられたけれど、

彼らは血の通った人間だ。

この木の葉に来られて良かったと思ったからこそ、

抵抗なく『協力する』と言えたのだ。


ゆなは、

そうはっきりとした口調で言うと、

アンダーに手をかけるが、

再び痛みで顔を歪ませるのを見て、

シズネがその手にそっと触れた。


「ありがとう・・・。私がやるわ。」


アンダーを脱がされると、

靴とジーンズも脱ぎ、

ブラとショーツだけになった。


羞恥からか、カカシの方は見れなかった・・。



「背中を見せて・・。

 ああ、少し腫れているわね・・。

 ネジくんの話では骨折はしていないようだし、

 怪我の程度はそんなに重くないわね。」



そういうと、

慣れた手つきでネジが巻いてくれた包帯をほどき、

持ってきた医療セットで消毒をして軟膏を塗り、

新しい包帯でまた巻きなおしてくれた。


「傷はこれで大丈夫。」


改めて渡された先ほどの服に腕を通し、

腰辺りにある紐を自分で結び、

シズネに促されながらベッドに横になった。

改めて部屋の中を見渡すと、

部屋の入口近くにカカシがズボンのポケットに手を入れて立っていた。


さっきのやり取りも見られていたんだろうかと思うと自然と頬が赤くなってしまう。



「綱手様、終わりました。」


既にいのいちとの話は終わっているようで、

二人とも険しい表情でこちらを向いて立っている所へシズネが歩み寄った。



「よし。・・いのいち、頼む。」

「・・・はい。」



シズネと入れ替わりになる形で、

綱手といのいちがゆなが横になっているベッドに近寄った。



「ゆな・・、と言ったな。」

「はい。」

「自己紹介が遅れたが、

 私はこの木の葉の里の長で五代目火影の綱手という者だ。

 お前、忍を見るのが初めてなんだそうだな?」

「・・はい。」

「生まれはどこだ?」

「東京・・です。」

「とうきょう・・。やはり聞いたことがないな。それと、その腕輪だが・・。・・誰にもらったものだ?」

「これは母から・・・」

「母親の出身は?」

「えーっと、東京です。たぶん・・。」

「うむ・・・・。」



目を閉じ、

その豊かな胸の下で腕を組んで綱手は思念を巡らせていた。



「綱手様、何か心当たりでも?」


カカシが静かに声をかける。


「ああ、いや・・・、まさかな・・・。だが・・・。」


「綱手様?」

「うん?ああ・・・、

 ゆな、この腕輪見せてくれるか?」


「あ、はい、どうぞ・・・。」


「・・・!・・やはりな・・。

 いのいち、頼む。」


「・・はい。」


「ゆな、

 悪いがお前はこの里で拘束させてもらう。

 お前が何者なのか、

 里の外でうろついてる奴らに聞いてもいいんだが、

 こっちのほうが早くて確実なんでな。」


「え・・な、なにを??」


「お前が敵でないことを確認したいだけだ。

 記憶を少し見させてもらう。

 大丈夫だ、痛みはない。」
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