DREAM

□解読。また会う日まで・・・
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カカシは静かに見つめた。


「私ね・・、たまに不安になるんだ・・・。自分が一体何者なのか・・って・・。なんでこの世界に生まれなかったんだろうって。一人ぼっちで生きているのは辛くて苦しくて・・。こっちに生まれていればもっと早くカカシに会えたし、もっと長く一緒に居られたし、きっと一人じゃなかった・・・!それに・・・」

(それに・・)

カカシにはそのあとの言葉が手に取るように分かる。
自分も同じ気持ちだからだ。

だが、戻らなくてはならない。決めたのはゆな自身なのだから。




カカシは何も言わず、前から包むように抱きしめた。
それまでこらえていた涙は、カカシの体温に解かされるように静かに流れて行った。

「・・・ゆなは俺にとってかけがいのない存在・・・、大切な人だ。君がここに存在しているのにこれ以上の理由は必要ない。鬼火だろうが異世界の人間だろうが、ゆなはゆなだ・・。」

「一人じゃない・・・。お前が生きている限りな。」


頭上から降って来た甘いけれど優しくて、これまで感じたことのない温かさに、自然とカカシの背中に手が回り、お互いをぎゅっと抱きしめあった。

「・・・カカシ・・・ありがとう・・。愛してる・・・。」









1週間後、時間通りにカカシと火影室へ行くと、数人の忍がすでにその部屋で待機していた。

全て、ゆなの事情を知る者達ばかりだ。


「よし、全員集まったな・・。今回、解読をするのはゆなだ。そしてその巻物を作ったのは鬼火一族の者。時空間忍術に長けていることで知られるが、巻物には多くの仕掛けが施されていた。今回は6人で周囲を結界で囲み、中心でゆなが解読を始める。・・・解読開始は20時だ。では、移動する・・。3分後に正門だ。・・・散っ!!」

たちまち姿を消す忍達。部屋には綱手とシズネ、カカシとゆなの4人だけ残った。

「ゆな・・、準備はいいか?」

「はい。」


カカシはゆなを抱き上げると、一旦火影室から外に出るとしばらく道をまっすぐ走り、途中から建物の屋根つたいに軽快に駆けていく。

ゆなは視力が戻ってからはまた高いところが駄目になり、カカシの胸に顔を埋めて耐えている。


門へ着いて全員が集まると、再び次の集合場所を言い渡され、別々にそこへ集まっていく。
それを2度ほど繰り返し、たどり着いたのは、森の中にぽっかりと空いた空き地。地面に草はなく、平らな岩肌がむきだしになっている、不思議な場所だった。
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