捧げもの

□幸せの定理
1ページ/2ページ



水嶋「名無しさんちゃん」

『やだよ?』

水嶋「月子に会わせてほしいんだけど」

『やだって言ってるじゃん』

水嶋「はぁ、名無しさんちゃん」

『月子に会って何するの?!』

水嶋「…」

錫也「名無しさん、こっちおいで」

哉太「行かせてあげようぜ?」




錫也と哉太によって妨害される
私は郁と話がしたいのに




『やだってば!放してよっ、もう!!』

水嶋「ごめんね、2人とも」

錫也「いいですよ。名無しさんは抑えときますから早く行ってください」

郁「ありがとう」




先生は月子の元に走っていった




『!!』

錫也「…」

『行っちゃ、った…』




ガクンッ
と膝から崩れ落ちる




『どうして邪魔したの!?あと少しで…あともう少しで、』

哉太「もう少しで水嶋先生が自分のものになる…って?」

『!?』




図星をつかれて言葉が出なかった




『そう思って何が悪いの?郁がいつも見てるのは月子で、いつも話してるのは月子で、いつも…想ってるのは…月子で…っ!
たまにはいいじゃん。今だけでも、郁に見てて欲しいって思っても!』

哉太「悪いとは思わねぇーけどよ
でも、これ以上先生を想ってたら辛くなるのは、名無しさんじゃねぇーの?」




哉太は悲しそうな顔をして言った。私のことを想って言ってくれているのは分かる。それでも…




『辛くたって構わないよ。だって、想っちゃうんだもん』




何故だか涙が溢れだした。それほど必死なのだ。それほど私は郁のことを想っているのだ




『行かなくちゃ』




立ち上がって歩き出す




錫也「どこに?」

『郁のとこ』

錫也「もう諦めたら?」

『!?なんでそんなこと言うの?』

錫也「名無しさんの苦しんでる顔は見たくないし…それに、名無しさんのことが好きだから」

『…え?』

錫也「本気だから、俺は水嶋先生より名無しさんを幸せにする自信はあるよ。先生のこと想ってても辛いだけだろ?
俺は辛そうな名無しさん、見たくない」

『…』

錫也「…」




錫也の真剣な瞳に見つめられて、錫也も必死なことが伝わる




『そうだね、錫也なら私を幸せにしてくれそう』

錫也「じゃあ」

『けどごめん。私行かなくちゃいけない』

錫也「名無しさん!「東月、行かせてあげなさい」星月先生っ!?」

星月「辛くても構わない、って言ってたんだろ?」




星月先生はそっと目を閉じた




哉太「…」

錫也「…」




私は保健室を出た
錫也のもの悲しげな瞳に気付かないふりをして






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ