捧げもの
□幸せの定理
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水嶋「名無しさんちゃん」
『やだよ?』
水嶋「月子に会わせてほしいんだけど」
『やだって言ってるじゃん』
水嶋「はぁ、名無しさんちゃん」
『月子に会って何するの?!』
水嶋「…」
錫也「名無しさん、こっちおいで」
哉太「行かせてあげようぜ?」
錫也と哉太によって妨害される
私は郁と話がしたいのに
『やだってば!放してよっ、もう!!』
水嶋「ごめんね、2人とも」
錫也「いいですよ。名無しさんは抑えときますから早く行ってください」
郁「ありがとう」
先生は月子の元に走っていった
『!!』
錫也「…」
『行っちゃ、った…』
ガクンッ
と膝から崩れ落ちる
『どうして邪魔したの!?あと少しで…あともう少しで、』
哉太「もう少しで水嶋先生が自分のものになる…って?」
『!?』
図星をつかれて言葉が出なかった
『そう思って何が悪いの?郁がいつも見てるのは月子で、いつも話してるのは月子で、いつも…想ってるのは…月子で…っ!
たまにはいいじゃん。今だけでも、郁に見てて欲しいって思っても!』
哉太「悪いとは思わねぇーけどよ
でも、これ以上先生を想ってたら辛くなるのは、名無しさんじゃねぇーの?」
哉太は悲しそうな顔をして言った。私のことを想って言ってくれているのは分かる。それでも…
『辛くたって構わないよ。だって、想っちゃうんだもん』
何故だか涙が溢れだした。それほど必死なのだ。それほど私は郁のことを想っているのだ
『行かなくちゃ』
立ち上がって歩き出す
錫也「どこに?」
『郁のとこ』
錫也「もう諦めたら?」
『!?なんでそんなこと言うの?』
錫也「名無しさんの苦しんでる顔は見たくないし…それに、名無しさんのことが好きだから」
『…え?』
錫也「本気だから、俺は水嶋先生より名無しさんを幸せにする自信はあるよ。先生のこと想ってても辛いだけだろ?
俺は辛そうな名無しさん、見たくない」
『…』
錫也「…」
錫也の真剣な瞳に見つめられて、錫也も必死なことが伝わる
『そうだね、錫也なら私を幸せにしてくれそう』
錫也「じゃあ」
『けどごめん。私行かなくちゃいけない』
錫也「名無しさん!「東月、行かせてあげなさい」星月先生っ!?」
星月「辛くても構わない、って言ってたんだろ?」
星月先生はそっと目を閉じた
哉太「…」
錫也「…」
私は保健室を出た
錫也のもの悲しげな瞳に気付かないふりをして
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