捧げもの

□その空気は甘く
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初めて梓の家にやって来ました
いつもと違うデートにちょっと戸惑ってます




『梓』

「なに?」

『…なんでもない』




何をするでもなく、まったりとしているだけ
それだけ、なのに…なんでこんなにドキドキするのぉ!?




「名無しさん」

『ふぇっ!?な、何かな…?』




あぁあぁ〜、恥ずかしい
緊張して声が裏返っちゃったよぉ




「大丈夫?」

『な、なにが…』

「顔赤いけど、熱でもある?」




熱があるか、確かめるようにコツンとデコとでこを合わせてくる


近い近い近い近いっ!
確信犯?確信犯なの!?
なんだか…さっきよりも顔、赤い気がする




「うん、熱はないみたいだね。って、さっきよりも赤くなってない?」




やっぱり赤くなっていたか




「名無しさん…」

『へ、平気だよ!
熱なんてないしっ、そんなことよりホラッ楽しもうよ、ね!』




何を楽しむのか自分で分からないが…




「へぇ…(ニヤリ」




なんだか不敵な笑みを浮かべる梓
何かおかしいことしたかなぁ私…



「名無しさんは可愛いなぁ」




ギュッ、




『あぁあぁぁ梓っ!?』

「どうしたの?いつもと反応が違うけど…」

『そんなこと…』




あったりするけど…恥ずかしい




「緊張してるの?」

『…うん、』

「大丈夫。緊張してるのが分からないくらい、もっとドキドキさせてあげる」




だなんて、耳元で囁くから私の頭はオーバーヒートで…




『もう死にそう』

「ダメ。名無しさんが死んだら僕どうしたらいいんだよ」




だから、耳元で囁くのは…




「名無しさん、好きだよ」

『うん、私も…』

「ずっと、こうしていたいな…なんて」

『私も、梓とずっとこうしていたい』




私の方から抱きついて言うと、梓は顔を真っ赤にしてるから
ちょっとからかいたくなって…




『あれ、梓顔真っ赤だよ?』

「それが何?」

『むぅ〜、余裕な感じがムカつく』

「余裕そうに見せてるんだよ。実際は…ホラ、聞こえる?」




私を抱き寄せて耳を梓の胸に当てられる
聞こえてくるのは、ドキドキという速い鼓動音




『フフッ、本当だ。梓も緊張してるの?』

「そうだよ」

『梓にも、もっとドキドキさせてあげる』

「じゃあ僕はもっともっとドキドキさせてあげる」

『だったら私は、もっともっともっとドキドキさせてあげる』




そして互いにフフッと笑いあって時間をつぶす




『大好きだよ、梓』






END

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