捧げもの

□おかしい
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私、名無しさんにとって始めての彼氏が出来ました!
しかし、カレカノというのは一体どういうことをするんでしょう?一ヶ月たった今でもよくわかりません。
とりあえず、登下校は一緒なのですが…なにしろ全てが始めての経験なもので




「どうしたの?名無しさん」

『い、いえ、なんでもありません…』




私の様子がおかしいと思ったのか顔を覗き込んでくる羊くんの仕草に照れてしまう。


ああぁあぁぁ、なんとかして慣れなければ!そうです!たったこれだけのことでいつまでも照れているわけにはいきません
少しくらい私から行動を起こさなければ!


例えば…手を繋ぐ、とか…




『「あ、」』




神様という者がいるのであれば、私の心の声が聞こえたのでしょうか?
少しだけ触れたお互いの指…
照れてしまって直ぐ様手を引っ込めちゃったけど…
この後どうしたらいいのですか!?




「…」

『…』




無言が続きます。
不思議と居心地の悪いものではありませんが、やはり、どうしていいのかわかりません。




「手…」

『は、はいっ!?』




いきなりの言葉に必要以上反応してしまう。




「手、繋いで帰ろう?」




優しく問いかけてくれる羊の顔は、夕日に染まっていてよく分からないけど赤くなっているように見えて…




『…うん』




私の顔まで真っ赤になる。
触れ合った手のひらから、お互いの鼓動が伝わる。




『(羊くんも、同じ気持ち…)』




そう思うとさらに頬が赤く染まる




「おかしいな(ボソッ」

『…え?』

「僕、なんだかおかしいよね」

『そう、かな?』

「うん、絶対に変。おかしい」




頻りにおかしい、おかしいと呟く羊くん




『どうしたの?』

「…」




訊ねてみれば無言になった。
本当にどうしちゃったんだろう?

すると囁くほどの小さな、でも確かな声で




「名無しさんと手を繋いだというだけで、こんなにも胸がドキドキいってる」




ホラ、と言って私の空いている手を羊くんの胸元に当てられる。
は、恥ずかしい…でも、安心する




『羊くん…私も、だよ』

「え?」

『すごくドキドキいってるの。
私も、おかしくなっちゃったのかな?』

「…」




ギュッ、と抱き締められる。
ドキドキする
安心する
なんだろう。この感覚…




「もう、名無しさん可愛すぎる」

『!?』

「あ、顔真っ赤だ。可愛い」




な、なんでサラッとそんなこと言えちゃうの?
もう、おかしくなっちゃいそうだよ




『羊くん』

「なに…?」

『…好き』

「〜〜っ、」




最後にちょっぴり仕返し。
恥ずかしかったけど、羊くんもきっと、同じだから…


あぁ、そうだ。


2人一緒におかしくなっちゃいましょう。


そうすればきっと、恥ずかしいなんてことはないから






END

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