捧げもの

□一度は言ってみたい
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『好きだよぉー』

「名無しさん可愛い。僕も好きだよ」

『羊くん、ギュッてして』

「名無しさんが望むのならいくらでも」

『もう羊くんってばカッコ良過ぎ!』




名無しさん、今現在最高の至福
でも、恋する乙女はわがままなのです




『ねぇ羊くん』

「なに?名無しさん」

『もし羊くんが働いてて、私と結婚していたら…羊くんは仕事と私、どっちが大切?』

「え…」




しばらく固まる羊くん
別に、名無しさんが大切っだよって即答してほしいわけじゃない
羊くんは真面目だから…
あぁ、真剣に悩む姿もカッコイイ




『冗談だよ。人間と仕事を比べること自体おかしいでしょ?』

「なんだ、冗談でよかった。本気で考えちゃったよ」

『ふふふ、嬉しい』




私が微笑むと羊くんもキレイに微笑む




『じゃあ羊くん、私と哉太は?どっちが大切?』

「もちろん名無しさん」

『じゃあ私と錫也は?』

「名無しさん」

『私と月子』

「…」

『ごめん、今のは私が悪かった』




羊くんにとって月子は幼いころからの大切な人だもん
ちゃんと分かっているから嫉妬なんてしないけどね!
それでは、これから究極の選択かもしれない質問を…




『私と錫也の料理では、どっち?』




いや、さすがにね、ないと思いますよ?
なんたって私は彼女なんですし、まさか食べ物に負けるはず…




「…え?」

『へ?』




なに?
今の反応…
ま、まさかそんな事あるわけ…




「そんなの答えるまでもないよね」

『えっとぉ』

「名無しさんに決まってる」

『羊くん』




あぁもうどうしよう
こんなに幸せじゃあいずれ死んじゃうよ
でも当たり前の結果だよね
人と食べ物を比べること自体おかしいんだから




『羊くん、私今すっごい幸せ』

「僕もだよ。名無しさんがとなりに居てくれるだけで、僕は幸せなんだ」

『羊くん』

「なに?」

『愛してるよ』

「っ、…それ、僕のセリフ」

『ふふっ、じゃあ羊くんも言ってくれる?』

「もちろん。名無しさん、愛してる」




チュッ、




とリップ音が聞こえる。




『よ、羊くん!?』

「好きだよ」




羊くんには一生敵いそうにもありません。






END

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