捧げもの

□あたたかい
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『哉太ぁー』

「んー?」




写真を撮るのに夢中になっていた哉太から生返事が返ってきた

写真を撮っているなんてお構い無し。私は哉太に抱きつく




「なっ!?」

『冷たい…』

「は?」

『すごく冷たい』




今は屋上庭園にて天体観測、というより哉太が写真撮りたいって言ってたからついてきただけなんだけど…
夜は寒い。哉太の体は冷えきっていて冷たかった




「わりぃ、寒いなら無理に付き合わなくても…」

『違うよ』

「?」




なんとも検討違いな答えだろう
私が冷たいわけではない
哉太が冷たいのだ
そう、身体的にも…私にも…!
ちなみにここ重要ね


だいたい、彼女ほったらかしってどういうことだ。
そりぁ、勝手についてきた私が悪いかもしれませんよ?
でもさぁ、ここまで空気扱いを受けるとは思ってなかったんだもん




『哉太、冷たい』

「ど、どうしたら良いんだよ?」

『そのくらい自分で考えてよ』




ぷいっと、拗ねたようにそっぽを向く
慌ててる哉太を見て、ちょっと優越感
哉太なんて、ずっと私のこと考えて慌てたりしていたら良いんだ…なんて甘ったるい考えが頭の中を占領する。




「名無しさん、」




腕を引かれ抱き締められる。




「あったかいか?」

『…』

「どうなんだよ?」

『なに赤くなってんの?』

「うっせぇ!寒いんだよ!!」




そう言っていっそう抱き締める力を強くする。
実際、哉太は寒そうだ。まぁでも、答えとしては正解かな




『哉太』

「ん?」

『あったかいよ』

「そうか、それは良かった」




ホッとした顔をする哉太
そんな哉太を見ていると心が温かくなる
冷たいなんて言ってごめんね
哉太はあったかいよ




『ねぇ哉太』

「なんだ?」




チュッ、




『あったかいね!』

「なっ…!おまっ」




してやったり。
哉太なんて、ずっと私のこと考えて慌てていたら良いんだ!






END

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