捧げもの

□選ぶのも一苦労
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『月子ぉ〜』

羊「いい加減うるさいんだけど」

『だってぇ』




街に買い物に出かけて早10分、私は月子不足で嘆いています
本来であれば月子と2人っきりで楽しくショッピングをする予定だったのに…
いつの間にか、月子に釣られてか幼馴染み組も一緒に行くことになり
いつの間にか、月子に部活の用事が出来ちゃって
いつの間にか、今の現状に至る




哉太「別に嫌なら帰ったって良いんだぜ?」

『それはヤダ!せっかく来たのに』

哉太「だったら文句言うなっての」




文句も言いたくなるよっ!今日のメインは月子だったのに…月子にいろんな服を着させてはウハウハする予定だったのにぃ!!
それにさ、月子だったら出会い頭に「その服似合ってて可愛いね!」とか言ってくれるはずなのに、それに対して「月子の方がまるで天使のように美しいよ!」って言いたかったのに…
この男どもときたら何もないんだから。お世辞でも何か言わなきゃ彼女が出来たときに苦労するぞコノヤロウ




『はぁ〜あ』

錫也「あ、そう言えば名無しさん」

『なに?』

錫也「その服、似合ってて可愛いね」




前言撤回しよう。錫也だけは大丈夫だよ。実際モテるし、頭は良いし料理は出来る。そしてイケメン…きっと彼女が出来ても苦労はしないはずだ




『錫也、ありがとう。嬉しいよ。それに比べてこの2人は…』

羊「ぼ、僕だって思っていたよ!名無しさんはどんな服を着てても可愛い」

哉太「言わなくても分かるだろ」




何だろう、この言わせた感。悪いことをしている気分になる
うん、何て言うか




『ごめんね』




謝らずにはいられなかった
特に哉太はピュアボーイだしね。気の利いたことなんてお世辞でも言いづらいか




哉太「そんなことより!何しに行くんだ?」

『あ、そうそう。服でも見てまわろうかなって思ってるんだけど』




そんな会話をしつつ目的地へ行く
特に買いたい物があるわけじゃないから、本当にただ見てまわるだけなんだけど、3人ものイケメン男子が女性用服売り場にいるだけでこんなにも客(女性)の目線を惹くのか




『…』

哉太「どうしたんだ?」

『3人ともブサイクにならないの?』

哉太「はぁ!?」

『うん、ごめん。謝るからそんな目で見ないで』




女性客の目が明らかに羨望の眼差し…だけではなく嫉妬の目だ
怖いんだよ!
ブサイクがイケメンに囲まれちゃってごめんなさいね!
これが月子だったらこんなことにはならないのかな…?




錫也「あぁ、そう言うことか」

羊「錫也?」

錫也「大丈夫だよ名無しさん」

『へ…?』

錫也「名無しさんは可愛いんだから。他の人の目なんて気にしなくても良いんだよ」

『錫也…』




何だこのイケメン惚れる
錫也ってば優しすぎる。優しすぎて泣ける




羊「ねぇ哉太」

哉太「んだよ」

羊「錫也が確実にポイントを稼いでる」

哉太「何だよポイントって?」

羊「とにかく!錫也にばっかり良いとこ見せられないでしょ?」

哉太「お、おぅ」

羊「僕たちも名無しさんに良いとこ見せなきゃ!」




2人がこんな会話をしていたなんて私は知らないのだが、こそこそ話している2人に気付かれないように近付き




『わっ!!』

羊・哉太「「!?」」

『もう。2人で何の話ししてるの?』

哉太「べ、別に何も話してねぇーよ!」

羊「そうだよ!哉太と話すことなんて何も無いんだから!」

『そ、そう…?』




2人の迫力に押されてしまった
何で隠そうとするんだろう?




羊「それより名無しさん!この服なんてどう?」

『え?』

羊「ほら、可愛い。名無しさんに似合ってるよ!」




羊くんが服を私にあてて試着してきたら?なんて言ってきた
確かにこの服は可愛い。それに私好みだ
でも似合うかどうかは別問題




羊「絶対似合うって、ね!」

『じゃあ、試着してこようかな』




再度言われてはするしかないじゃないか
そして私は試着するべく試着室に入る






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