中編

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金曜日




『ぶぇっくしょん!!』

「…今日は何?」

『忘れた』




呆れた眼差しを送られてしまった
記憶力がないのは今に始まったことではないので、そんなに呆れないで欲しかった


それにしても、本当に忘れてしまった
確か悪いことが起こるとか、そんな感じだったと思うけど…昨日の感じだと梓は信じてないし、私自身占いなど良いことしか信じない質なので今日のことは信じないようにしよう
うん、そうしよう


この時の私はまだ知らなかった
今日がどれほど悲しい日になるかということを…






───…






今日は珍しく1人の昼休みを満喫していた
いつもは梓とそれはもうラブラブと言っても過言ではないほど一緒にいるのに、いつも一緒にいたのに…
今日は1人


べ、別に寂しくなんてないんだからねっ!!


もう良いです
素直になります
寂しいです!
私がいなくても梓は平気何でしょーねぇー
なんて、ちょっとネガティブってみたり…




天羽「…好きかもしれない」




サッと物陰に隠れる
今の声は確実に翼だった。そしてまさかの恋愛話ときた。これは聞かなきゃと本能が告げている
翼が話している相手はどうやら梓のようだ
それにしても何故こんな使われていない教室で…?
聞かれたらマズイことでも話している訳ではあるまいし




木ノ瀬「何で僕に言うの?」

天羽「何で…って、お岩さんは梓の彼女だし」




んん?
何故私の名前が出てくる
いや、私もそこまでバカではないよ
話しの流れ的に翼は恋しているんだ。それで、私の名前が出たってことは…




『(ええぇぇえぇええぇぇ!!?)』




危うく声を発しそうになった
ここでバレては確実にマズイ
非常にマズイ
本気と書いてマジでマズイ
翼には悪いことだし、梓にとっても良いことではないはず
と言うより、梓に何て言われるか…(汗)
さぁ、私は何も聞かなかったことにして一刻も早くここから立ち去ろう




木ノ瀬「好きにしたら良いじゃん」

天羽「え…?」

木ノ瀬「人の恋愛に首を突っ込むほど、僕は野暮じゃないよ」

天羽「それって…」

木ノ瀬「はぁ…何度も言わせないでよ。好きにしたら良いって」






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