いぬぼく 小説
□初めまして?
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自己紹介を終えてようやく野ばらが落ち着いた頃。
もう一度連勝に要件を伝えようと莉桜が口を開きかけた時。
「雪小路さん、少し頼みがあるんだが…」
ラウンジに長い黒髪と紫色の目、色白で小柄な少女が入ってきた。
その少女を見た途端、人見知り発動で控えめに笑っていた莉桜の表情が一転。花の咲いたように満面の笑みを浮かべ少女に走りより勢いよく抱きついた。
「りぃーりぃーちぃーよぉーーーっ!!」
「ちょっ、君!?いきなりなんだ!は、離れないか!」
「凜々蝶ーっ、会いたかったぁ!あれ?ちょっと小さくなった?でも、相変わらず可愛いなぁもうっ♡」
顔を赤くして抵抗する凜々蝶をお構いなしに抱きつき久しぶりに幼馴染みと会えた喜びを全身で表す私。
野ばらちゃんは何故か鼻息を荒くしてその光景を眺めている。
苦しい、という凜々蝶にごめんごめんと謝りながらぱっと解放すると、彼女は迷惑そうな顔をしながら私が乱した髪を整えた。