いぬぼく 小説
□歓迎会
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パン!パン!パン!
「「「妖館へようこそ!」」」
ラウンジに入るや否や野ばらちゃんやカルタが待ち構え、そう迎えてくれた。
---車の中で、私の歓迎会をやってくれるはずだったと聞いた。連勝は気を遣って、今日はやめておこうかと言ってくれたけど、私は大丈夫だからどうしても出たいといい、決行してもらった。
嬉しかったのだ。私が、自分の意志で居たいと思える場所に歓迎されるのが。
「あ、りがとう…」
嬉しすぎて、思わず涙ぐみ、震える声と精一杯の笑顔でお礼をいう。
「…莉桜ちゃん、泣いてるの?これ、あげるから、泣かないで…?」
カルタがそっとお菓子を口元に運んでくる。
うん、と笑ってうなづき、口を開けてお菓子を頬張る。
カシャッカシャッ
「ハァ、ハアッ、カルタちゃん、莉桜ちゃんっ!いいわあ、もう一回あーんしてぇ、お姉さんによく見せてぇ〜♡」
野ばらちゃんは相変わらず息を荒くしてメガネを曇らせている。
凜々蝶は呆れ顔。御狐神さんや連勝は笑っていたけれど、ちらちらと私を心配してくれていた。
いい人たちに囲まれて、私はとても幸せだ。
あの程度の嫌なことなんて、すぐに忘れられる。
笑ってくれる仲間に、笑わせてくれる仲間に、心から感謝した。