いぬぼく 小説

□懇親会
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ピピピピっピピピピっ

「………ん゛ー………」

目覚ましの音に苛立ちを覚える。
…眠たい……

昨日は連勝にひどいことを言ってしまったのでいろいろ考えてしまい、全く寝付けなかった。
今日は懇親会なのに…。

髪の毛を乾かして寝なかったせいで長い髪がうねっている。

青白い顔に刻まれたクマ。明らかに寝不足な顔だ。
鏡に映る自分の姿を見て、はあ。とため息をつく。
今日は連勝と一緒に行くわけにもいかない。だから野ばらちゃんにもついて行けないということになる。

ひとりで、ドレス着て、歩いていくのか…

その事実にさらに気が重くなる。
…行くのやめようかなあ。
でも凜々蝶の挨拶見たいし…

うーん、と頭を抱えて考えていると…

ピンポーン

不意に呼び鈴がなった。

もしかしたら、彼かもしれない。
そう思い急いでドアを開ける。

「連っ…!

の、野ばらちゃん?」

ドアを開けるとそこにはセクシーなドレスを着飾った野ばらちゃん。

「莉桜ちゃんおはよう♡
って、どうしたの!?凜々蝶ちゃんに引き続き莉桜ちゃんまで寝不足!?」

病弱少女、メニアック!とgoodのハンドサインをつくる野ばらちゃん。
ドレスを着るお手伝いしてくれるというのでお願いした。

ドレッサーに私を座らせ、髪をアップにする。

「寝不足の原因は御狐神?それとも、反ノ塚かしら?」

「なっ!?……その、連勝は、何か、言ってた?」

野ばらちゃんになら、はぐらかすよりも聞いて欲しいと思い口を開く。

「特に何も言わなかったわ。でもいつもより元気なかったから、気にしてるんじゃないかしら?」

「……私ね、連勝にひどい事言っちゃったの。ラウンジの会話、聞いてたの。カバン取りに行ったんだけど、入るタイミングも見失っちゃって。」

そう…。と呟き、彼女は優しく私の髪を梳く。

「御狐神さんも、連勝もそう。…ショックだった。みんなも、変わらないのかなって。私の嫌いな男の人なのかなって…。」

「…莉桜ちゃん。あなたの知ってる反ノ塚は、どんな人?」

「私の、知ってる連勝…」

「莉桜ちゃんにとっての反ノ塚は、莉桜ちゃんが思う反ノ塚でいいんじゃないかしら?」

私の、知ってる、連勝。
考え込む私を見て、野ばらちゃんは「仲直り出来るといいわね」と言ってくれた。


「はい!完成!」

野ばらちゃんの声に視線をあげると鏡に映った私の長い髪はサイドでポニーテールにされ、毛先がくるくるに巻かれていた。

「わぁっ!すごい!野ばらちゃん、ありがとう!」

私も女の子なので、おしゃれをして着飾るのは好きだ。
初めての髪型に胸が踊る。

その後は軽くメイクをしてもらった。
野ばらちゃんは一緒に行こうと誘ってくれたけど、連勝と顔を合わせづらかったので断った。
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