いぬぼく 小説
□歓迎会
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連勝達の考慮もあり、歓迎会は早めにお開きになった。
主役だから、と、みんなで私を部屋まで送ってくれた。
笑顔でお礼を言って部屋の中に入る。
連勝も凜々蝶も御狐神さんも、歓迎会中に何度も目が合った。
彼らはみんな同じように心配そうな顔をし、私を気遣ってくれているのが痛いほどよくわかった。
--せっかくだったのに、気を遣わせちゃって申し訳ないな…
連勝は、私が昔からどれだけあのような目に遭ってその度に傷ついてきたかよく知っている。
だからこそ、余計に心配をかけてしまっただろう。
アメリカにいた時も日本にいる時も、相も変わらず「それ」の力は影響してしまう。
「それ」は、私の中に流れる血。
---人魚の血だ。
人魚は絶世の美しさを持っている。それ故、人魚の血を受け継ぐ先祖返りは皆、揃って人離れした見た目と美しさを持っていた。
また、人魚の血肉を喰らえば、不老不死の力を得られるという伝説は誰もが聞いたことがあるだろう。
それらが人を惹きつけ、時には狂わせるのだ。
意思がしっかりした人に影響が出る可能性はあまりない。
だが、影響されやすい人も多くいる。
昼間の、彼らのように。
きっと彼らは、今では何故そんな強引に私を誘ったのか、自分でも不思議に思っているだろう。