短編・中編

□君を『ミーツケタ』
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〜大谷〜




『ねぇ、吉継』

「何よ」

『今度の戦で私、死ぬわ』

「…………は?急に何を申すか」



われの目の前の女は唐突に自分の死を宣告しやった。
この女だけは真に何を考えておるか、一寸も読めはせん。まァ、それ故に面白いのだがな…ヒヒッ。



『こないだね、巫に久しく会いに行ったの。そしたら、占いしてくれて…まぁ、死の宣告をされたってわけ』

「ヒ、ヒヒヒッ!ぬしが?死ぬゥ?ヒャハハッ!真に面白い戯言を…!ぬしほどの者が死ぬとあの巫女は申すか」

『うん。まぁ、もう覚悟はできてるからいいのよ………それより、本題!吉継にお願いがあるのよ』

「……どれ言ってみろ…内容にやっては聞いてやろ」

『ふふっ、えっとね…』



目の前の女はいつになく真剣な顔をしておった。そして、その女が言った。
願いにわれはうなづく。

それから……数ヶ月後、女は巫女の助言通りに戰で散りやった。



「…ぬしとの願いを叶えてやろ。あぁ、いい年でかくれんぼとな…ヒヒッ、ぬしは真に遊戯が好きよなァ。まァ、良いヨイ。付き合ってやろ。われが鬼よ。さァて、かくれんぼを始めるとするかの、ヒヒヒヒッ!」



そして、時が経つ………。



▽ ▼ ▽



『行ってきます』



無人の家に言う。今日から、私は大学生。かの有名な婆娑羅大学に通う!ここに来るまで本当に苦労した。
婆娑羅大学には同じ高校の人が結構いる。まぁ、学部が違うからあまり会わないけど。



『!佐助、幸村おはよー』

「あ!桜ちゃんじゃん!おはよー☆」

「桜殿!おはようでござるぅぅぅ!!!」



同じ高校だった。見知った顔が早速いた。この二人は高校3年の時に同じクラスになって結構仲が良かった。



『…佐助?なんか、キョロキョロしてるけどどうしたの?』

「ぇ!?やっ、なんでも、ないよ〜」



少し、焦り気味な佐助。
……はっは〜ん。さては…、



『佐助く〜ん。かすがは一緒じゃあないよっ?』

「なっ!?べ、別に!かすが探してたわけじゃないからね!?」

「佐助……まだ、かすが殿のことを………」

「旦那…そんな目で見ないで……」

『いやー、何回もフラれてるのにめげないね!』

「そんなばっさり言わないでよ!!俺様も傷ついてんだから!」



佐助は中学からずっとかすがのことが好きなようだ。何回………何百回も告白してるがいつも「ウザイ」「黙れ」「死ね」と暴言を吐かれフラれる。
いや、これ見た時は同情したわぁ…。

まぁ、そんな感じで大学の中を歩いていた。
すると、前から前髪が尖っている銀髪の人と所々包帯を巻き杖をついて歩いている人がいた。



『………』



その二人の横を通ろうとした時だった。


ガシッ


杖をついている人に腕を掴まれた。
何だと、思いその人の顔を見た。すると、その人はニヤッと笑い私に向けて。



「桜、ミーツケタ」



と言った。
その瞬間、私に記憶が流れ込む。



『ぁ、あ……吉継…』

「ヒヒッ、やぁっと、見つけた。ぬしはかくれんぼが上手い、ウマイ。全然見つからなかったわ」



そう言って、ヒヒッと笑う。
あぁ、あぁ、吉継だ。よしつぐ……。



『遅いよ。…バカ』

「すまぬ、スマヌ………かくれんぼは終わり、だなァ」

『ふふっ、見つかっちゃたわ』



だから、もう、かくれんぼはおしまい。
ありがとう。ありがとう。見つけてくれて。



***

(『私が生まれ変わったら、見つけてほしいの』)
(「見つける……」)
(『えぇ、だからかくれんぼしましょ?』)
(「かくれんぼ……とな。ヒヒヒッ!ぬしはややか」)
(『ふふっ、何事も楽しい方がいいでしょ?だから、かくれんぼ!吉継が鬼』)
(「…あい、分かったワカッタ。期限は無いんであろ?」)
(『えぇ………けど』)
(「?」)
(『なるべく、早く見つけて、ね』)
(「ヒッヒッ、善処しよ」)


(『かくれんぼ終わっちゃったわね……次は何をしようか』)
(「まだ、遊び足りぬと申すか?われはいい加減ぬしとイチャイチャしたいのだが…」)
(『……え!?』)
(「ヒヒッ、嫌か?」)
(『………べ、別に…』)
(「では……今世で共にゆるりと過ごすかの」)
 

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