青春プレイボール!
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「百合香ちゃーん」
「あ、矢部くん。どうしたの?」
「もうすぐ、クリスマスでやんすね」
「うん、そうだね」
「百合香ちゃんは、誰と過ごすでやんすか?」
「んーと、決まってない、かなあ」
「矢部くん、ダメだよ」
「あ、葉羽くん」
「百合香ちゃんには、三大ハイエナがついてるんだから、袋だたきにされちゃうよ?」
「さ、三大ハイエナ……?」
「そうだよ! 百合香ちゃん、本当に一緒に過ごしたい人がいるなら、あのハイエナたちにガツンと言わなきゃダメだよ!」
「う、うん……」
「そうでやんす! オイラと過ごしたいってひとこと言えばいいでやんすよ」
「……それは百合香ちゃん次第だけど、とにかく! クリスマスは好きな人と過ごす特別な日だからね! 百合香ちゃんが言えないなら、俺が言ってあげるから!」
「あ、ありがとう……」
全ての発端は、ここから始まったような気がします。クリスマス、好きな人と過ごす聖なる夜。それが本当なら、私は一緒にいたい人がいる。でも、こうして意識してみて、悩んでいることもあったのです。
それは、みずきと友沢くんのこと。
覇道高校に負けて、元気がなかった猪狩くんと一緒にいた日。あの日の夜に、私はみずきと友沢くんのふたりに会った。その時に、友沢くんはみずきのことを好きなんじゃないかなって思って、悲しくなって。
でも、うじうじしたって、仕方ない。前を向くこと。それを教えてくれたのは、猪狩くん。それからは、みずきを信じて、素直な気持ちでいようって思った。たとえ、友沢くんが、みずきのことを好きでも、彼を好きでいよう、って。
そして、友沢くんからみずきのことを聞いて、みずきが、私の大切な、特別な友達だってことも改めてわかった。なんだけど、さすがに、今回は邪魔になる、よね。あ、ダメダメ。悲しくなっちゃ、ダメ。