青春プレイボール!
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「くっ、やってしまった…」
あれから、片手で顔を覆う友沢くん。気にしてるのか、私とは目を合わせない。どうやら彼はあれらしい。いわゆる、アイドル好きさん。確かに、彼の雰囲気からして、アイドル好きっていうのはなかなか想像しづらいかもしれない。でも、悪いことじゃないとは思うけどな。……よし、ここはなんとか、友沢くんを元気づけてあげなきゃ。
「あ、ホーミング娘の専門店があるよ! 行ってみる?」
「いや、いい……」
「えっと、なんだっけ。ホーミング娘のあの曲いいよね。んっと、どんな曲だったかなあ……」
「みじめになるからやめてくれ……」
「……あの、心配しなくても、誰にも言わないよ」
「そういうわけじゃないんだ……」
見事に三球三振。そんなに落ち込まなくてもいいのに。猪狩くんとかにバレちゃうより、私にバレる方が、ずっとマシだと思うけどな。
でも、このままじゃダメよね。だって今日は、クリスマスだもん。特別な日。私は友沢くんの腕を引っ張って、走り出した。冷たい空気が、風になる。友沢くんは驚いてるみたいだけど、振り向かない、目的地にまっしぐら、そんな私を見て、あきらめたのか、それ以上何も口に出すことはなかった。