短編

□もしも彼女がイベキャラだったら
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バレンタイン

「小波くん、今日が何の日か知ってる?」
「もちろん! バレンタインだよね!」
「ふふ、そうです」
「今日のために、オレは机の中もロッカーの中も、しまいには下駄箱までピッカピカにしたんだからな!」
「もう、あんまり他の女の子からチョコをもらって喜んでると、私のはいらないのかと思っちゃうぞ」
「な、何言ってるの! 名前ちゃんのチョコをもらうために片付けたんだよ!」
「え? 私からチョコをもらうため?」
「そうだよ! 名前ちゃんの絶品手作りチョコが入るのに、汚くしてられないだろ!?」
「それより、付き合ってるんだからちゃんと手渡しで渡すよ」
「そうか……あ、あれ? じゃあオレが一週間前から少しずつ綺麗にした努力は?」
「……ふふ、でも頑張ったから入れてあげようかな」
「えっ」
「じゃあ小波くん、ちょっと席空けて」
「う、うん」
「わあ、本当にピカピカ。じゃあ入れておこうっと」
「で、でも名前ちゃん。そしたら、手渡しは……」
「バレンタインって、明日でも遅くないよね?」
「え? えっと、た、多分……」
「うん、それなら大丈夫。今日のはお掃除頑張りましたのチョコ、明日また本命チョコを作ってくるね」
「本当!? ふたつくれるってこと?」
「うん」
「よっしゃあー! 明日も楽しみだ! けど、その前に今日のチョコを食べてもいい?」
「もちろん、どうぞ」
「やった、いただきます!」
(パクッ)
「うーん、美味しい! 売り物よりずっと美味しい!」
「それはよかったあ」
「こんなに美味しいものが明日も食べられるなんて……オレは幸せ者だー!」
「もう、大袈裟だよ」
「いや、名前ちゃんの料理はオレにとって世界一だからね!」
「……うんっ、ありがとう」

体力が40上がった。
やる気が上がった。

筋力ポイントが20上がった。
敏捷ポイントが20上がった。
技術ポイントが20上がった。
精神ポイントが20上がった。
名前ちゃんの評価が5上がった。

エピローグ

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