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□★本命(跡蔵)
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「おまえ、なんか…綺麗になったな」
不意に跡部が言った。
「俺のせいだろ」
自信満々に笑んだ跡部に、白石は微笑みを称えて。
「跡部クンのせいやろなぁ、やっぱり」
わざと聞こえるよう言っては、男の胸元に頭を埋める。
確信犯だ。
ギャラリーの女たちから悲鳴とも付かないざわめきが生まれる。
「跡部クン、早よ帰ってええコトしよ」
甘えて見せる、その仕草に。
跡部は内心劣情を覚えずにはいられない。
白石は知らない。
跡部の本命が、本当に白石だということを。
「来い。白石」
ぎりぎりの駆け引き。
不埒な純情を、持て余す。
跡部は、初めて白石をテニス部のシャワー室に案内した。
「綺麗な設備やなぁ。古いウチのんとは違うわ」
後ろから不意に白石を抱き捕まえた跡部に、白石はきょとんとして問いかける。
「誰かおるん?」
「さあな」
熱い唇が、白い耳を喰む。
「あ、…」
──ヤバいって、跡部クン。
白石が小さく抗議したが、跡部は素知らぬ顔で行為を進める。