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□★火遊び(跡蔵)
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水飲み場で顔を洗っていた白石は、不意に人の気配を感じて顔を上げた。
「跡部クン」
朝の大会会場。
「よ」
ゆっくりと近づいてきた跡部が、白石にタオルを渡す。
「おおきに」
タオルを渡される瞬間に触れ合った指に、白石は一瞬ぴくりとした。
「ええ天気やなぁ」
伸びをする白石を、跡部は見るともなしに眺めていたが。
「白石」
不意に跡部がくしゃりと白石の髪を撫でた。
「寝癖ついてるぜ」
喉奥で笑った跡部が、やんわりと白石の頭を撫でる。
「猫っ毛だな、すぐ直った」
跡部は白石の髪を満足そうに見やり、地肌を撫でる指をそっと離した。
その瞬間、白石は感じてしまった。
「跡部クン、触り方工口い」
白石は跡部のせいにして、高鳴る鼓動をどうにかやり過ごす。