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□街歩き(跡蔵)
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「ジェル、これでええ?」
「こっちの無香料のやつがいいんじゃねえか」
「せやな」
オトナのグッズを買いに来ている跡部と白石であった。
もちろん、ふたりで使うためだ。
ハタから見れば、友人同士。
その実は、男同士で肉体関係を持っている『彼女の兄』と『妹の彼氏』だ。
「ほな行こか」
今日は東京でのデートの日。
妹の目を盗んで、白石は跡部と密会を重ねている。
「白石、おまえが持ってな」
買ったジェルを、跡部は白石に差し出した。
「おまえとしか使わねぇ証拠に」
言われた言葉に、一瞬白石は目を見張った。
「…おん」
眼を伏せて嬉しげに頷いた白石に、跡部が小さく笑う。
「表参道歩くか、白石」
兼ねてから白石が歩きたがっていたお洒落な街だ。