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□視線(跡蔵)
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好きな相手の視線を独り占めしたいとは、誰しも思うもの。
だが、その視線がすれ違った女の子の『胸』に行っていたともなれば、白石のショックはおいそれと察せられるというものだ。
そんなわけで、白石は今悩んでいた。
「……」
鏡の前でひとり、無い胸を見つめる。
そこには、白い肌にしなやかな筋肉が巡っているだけだった。
男としては綺麗なカラダだと思う。
だが、それは今白石が憧れる『豊満な胸』ではない。
「アカンやん…」
うなだれた白石は、不意に鳴ったチャイムにどきりとした。
今日は家に白石だけ。
ゆかりは友達と遊びに行っていた。